芳香族化合物のメタン発酵

フェノールまたは安息香酸で馴養した4種類の汚泥を用いて, 芳香族化合物の嫌気性分解を調べた。サリチル酸, p-クレゾール, ヒドロキノン, フロログルシノールはそれぞれ3種類の汚泥で分解が認められ, これらの物質は比較的嫌気性分解を受けやすいと考えられた。クレゾールの異性体ではパラ置換体のみ分解性を示し, メタおよびオルト置換体は全く分解されなかった。多価フェノールでは, ヒドロキノン, フロログルシノールの他に, カテコールとレゾルシノールの分解がそれぞれ1種類の汚泥で認められた。 芳香族化合物には, 適切な馴養によって嫌気的に分解される物質も少なくないと推定された。ビフェニルやナフタレン等...

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Published in水質汚濁研究 Vol. 13; no. 2; pp. 116 - 120,98
Main Authors 小林, 敏昭, 中村, 和憲, 三上, 栄一, 橋永, 忠志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本水環境学会 10.02.1990
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ISSN0387-2025
DOI10.2965/jswe1978.13.116

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Summary:フェノールまたは安息香酸で馴養した4種類の汚泥を用いて, 芳香族化合物の嫌気性分解を調べた。サリチル酸, p-クレゾール, ヒドロキノン, フロログルシノールはそれぞれ3種類の汚泥で分解が認められ, これらの物質は比較的嫌気性分解を受けやすいと考えられた。クレゾールの異性体ではパラ置換体のみ分解性を示し, メタおよびオルト置換体は全く分解されなかった。多価フェノールでは, ヒドロキノン, フロログルシノールの他に, カテコールとレゾルシノールの分解がそれぞれ1種類の汚泥で認められた。 芳香族化合物には, 適切な馴養によって嫌気的に分解される物質も少なくないと推定された。ビフェニルやナフタレン等の嫌気性分解が困難な物質は, はじめに好気性微生物によって, 安息香酸やサリチル酸などに変換した後に嫌気性処理することによって, メタンへ分解するのが実際的と考えられた。
ISSN:0387-2025
DOI:10.2965/jswe1978.13.116