培養細胞の走査電子顕微鏡像と微分干渉顕微鏡像

HeLa細胞とマウス腎初代培養細胞を用い, 微分干渉顕微鏡で生態観察して写真撮影したのち, ただちに固定して, さらに同一視野を走査電子顕微鏡で観察した. 固定はオスミウム酸あるいはグルタルアルデヒド単独固定を用いた. 未固定微分干渉顕微鏡像は マウス腎初代培養細胞, HeLa細胞ともに 核が陥凹してみえるものが多い. 走査電子顕微鏡では, マウス腎初代培養細胞に核の突出するものが多く, HeLa細胞に核の陥凹するものが多い. また この現象は固定方法に関係がない. 二方法による所見はHeLa細胞においては大体一致するが, 初代培養細胞においては必ずしも一致しない. その理由は 乾燥質量の大小...

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Published inArchivum histologicum japonicum Vol. 34; no. 5; pp. 491 - 500
Main Authors 寺内, 昭子, 名和, 橙黄雄, 永田, 哲士
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 国際組織細胞学会 1972
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ISSN0004-0681
DOI10.1679/aohc1950.34.491

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Summary:HeLa細胞とマウス腎初代培養細胞を用い, 微分干渉顕微鏡で生態観察して写真撮影したのち, ただちに固定して, さらに同一視野を走査電子顕微鏡で観察した. 固定はオスミウム酸あるいはグルタルアルデヒド単独固定を用いた. 未固定微分干渉顕微鏡像は マウス腎初代培養細胞, HeLa細胞ともに 核が陥凹してみえるものが多い. 走査電子顕微鏡では, マウス腎初代培養細胞に核の突出するものが多く, HeLa細胞に核の陥凹するものが多い. また この現象は固定方法に関係がない. 二方法による所見はHeLa細胞においては大体一致するが, 初代培養細胞においては必ずしも一致しない. その理由は 乾燥質量の大小と 細胞表面の凸凹は無関係であるからであろう. 一般に 樹立細胞に核の陥凹するものが多く, 初代培養細胞では 核の突出するものが多いといえる. 単層細胞横断面の透過電子顕微鏡の観察においても核の凸凹がみられ, この現象は人工的なものでなく, 何らかの生理学的意義をもつものと思われる. しかし, その意義については未だ想像の域を出ない.
ISSN:0004-0681
DOI:10.1679/aohc1950.34.491