消毒薬ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムのBiofilm形成緑膿菌およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌に対するIn vitro抗菌力ならびに消毒効果

環境消毒として使用され始めているジクロロイソシアヌル酸ナトリウム (SDI) に対する殺菌効果について検討した.菌株はPseudomonas aeruginosaPAO 2001-2とMethicillin-resistantStaphylococcusaureus(MRSA) OMU 91007を用い, biofilm菌を作成して行った.SDIの対照として塩酸アルキルジアミノエチルグリシン (AEG) を使用した.P.aeruganosaに対する殺菌作用は, AEGに比べSDIのほうが強く約15分で殺菌し, MRSAに対する殺菌作用もSDIのほうが強く約30秒で殺菌し, また, 走査電子顕微...

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Published in環境感染 Vol. 13; no. 3; pp. 195 - 199
Main Authors 那須, 勝, 休波, 茂子, 割石, 富美子, 島田, 達生, 一宮, 朋来
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本環境感染学会 30.08.1998
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ISSN0918-3337
1884-2429
DOI10.11550/jsei1986.13.195

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Summary:環境消毒として使用され始めているジクロロイソシアヌル酸ナトリウム (SDI) に対する殺菌効果について検討した.菌株はPseudomonas aeruginosaPAO 2001-2とMethicillin-resistantStaphylococcusaureus(MRSA) OMU 91007を用い, biofilm菌を作成して行った.SDIの対照として塩酸アルキルジアミノエチルグリシン (AEG) を使用した.P.aeruganosaに対する殺菌作用は, AEGに比べSDIのほうが強く約15分で殺菌し, MRSAに対する殺菌作用もSDIのほうが強く約30秒で殺菌し, また, 走査電子顕微鏡で各消毒薬によるP.aeruginosaおよびMRSAの菌体構造の破壊が観察された.手術室での消毒薬による減菌値は, AEGに比べSDIのほうが高く, MRSAを含む分離菌の減菌値はSDIでは100%であった. 以上の結果より, SDIはbiofilm形成菌に対して優れた殺菌効果を有した.保管方法, 濃度調整などが容易であるという利点からも, 病院環境消毒に安全・有効な消毒剤であると思われる.
ISSN:0918-3337
1884-2429
DOI:10.11550/jsei1986.13.195