第12回体表心臓微小電位研究会 シンポジウム 抗不整脈薬の体表心臓微小電位記録による評価―加算平均心電図, T wave alternansなどのよる検討― T wave alternansの検出に対するNicorandilの影響 虚血性心疾患患者における検討

【目的】虚血性心疾患患者において,Nicorandil(NIC)の投与がT wave alternans(TWA)の検出に及ぼす影響を検討した.さらに,NICのTWAに対する急性効果とその後の重症心室性不整脈出現との関係について検討した. 【方法】(1)TWAの検出に対するNICの効果についての検討:虚血性心疾患例38例を対象とし,心房ペーシング負荷によるTWAの検討を連続2回(30分間隔)施行した.患者は,1)Contro1群(C群,n=12),2)Isosorbide dinitrate群(ISDN群,n=12),3)NIC群(n=14)に無作為に分けた.(2)TWAに対するNICの急性効...

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Published in心臓 Vol. 35; no. Supplement1; pp. 56 - 60
Main Authors 山田, 健史, 中山, 清和, 小沢, 友紀雄, 笠巻, 祐二, 上松瀬, 勝男, 渡辺, 一郎, 脇田, 理恵, 橋本, 賢一, 斎藤, 穎, 小牧, 宏一, 柳川, 新
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 20.02.2003
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.35.Supplement1_56

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Summary:【目的】虚血性心疾患患者において,Nicorandil(NIC)の投与がT wave alternans(TWA)の検出に及ぼす影響を検討した.さらに,NICのTWAに対する急性効果とその後の重症心室性不整脈出現との関係について検討した. 【方法】(1)TWAの検出に対するNICの効果についての検討:虚血性心疾患例38例を対象とし,心房ペーシング負荷によるTWAの検討を連続2回(30分間隔)施行した.患者は,1)Contro1群(C群,n=12),2)Isosorbide dinitrate群(ISDN群,n=12),3)NIC群(n=14)に無作為に分けた.(2)TWAに対するNICの急性効果とその後の重症心室性不整脈出現との関係について検討:陳旧性心筋梗塞10例を対象とし,心房ペーシング負荷によるTWA検査を施行した.Baseline記録後にNIC2mgを静脈投与し,6mg/hrで点滴静注しながら2回目のTWA検査を行った.なお,対象となった10例は,検査後NICの内服投与が継続された.TWAの判定は,Bloomfieldらの基準に従った. 【結果】(1)C群,ISDN群,NIC群のMaxValtはTest1では各々4.1±0.8μV,4.0±0.5μV,4.2±O.7μVであり,Test2では各々2.9±0.5μV,2.8±0.7μV,1.2±0。4μVといずれもT2において減弱したが,NIC群で有意に減少率が大であった.(2)BaselineにおけるTWA陽性は5例,陰性5例であり,NIC投与後では,TWA陽性は3例,陰性7例であった。NIC投与後にTWA陽性持続例(PP群)は3例,TWA陰性化(PN群〉は2例,陰性持続例(NN)群は5例であった.平均観察期間は30カ月で持続性心室頻拍(VT)の出現は,PP群2例,PN群0例,NN群0例であった. 【結語】NIC投与によりTWAの改善が示されたが,この効果は,NICが有するnitrate作用よりはKATP開口薬としての作用が主体である可能性が高いと考えられた.NICの急性投与によるTWAの結果からその後のVT出現に対する予測ができる可能性が示唆された.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.35.Supplement1_56