習慣性扁桃炎患児における細菌に対する全身的免疫応答

扁桃炎の代表的起炎菌であるStteptocccus S.pyogenes, Staphylococcus aureus, S.pneumoniae, およびnontypable Hemophilus influenzaeに対して生体が如何に免疫応答し, これらを排除しているかを解明することは, 習慣性扁桃炎の病態を考える上で非常に重要と云える. 習慣性扁桃炎患児におけるこれらの細菌抗原に対する血清中の特異的IgG抗体価をELISA法にて測定したところ, S.Pyogenesの全菌体に対する抗体価および菌体外産生物質streptolysin-Oに対する抗体価 (ASO価) は非習慣性扁桃炎児と差...

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Published in口腔・咽頭科 Vol. 9; no. 2; pp. 223 - 228
Main Authors 村形, 寿郎, 郷, 充, 原渕, 保明, 児玉, 広幸, 横山, 雄司, 形浦, 昭克
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔・咽頭科学会 28.02.1997
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ISSN0917-5105
1884-4316
DOI10.14821/stomatopharyngology1989.9.223

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Summary:扁桃炎の代表的起炎菌であるStteptocccus S.pyogenes, Staphylococcus aureus, S.pneumoniae, およびnontypable Hemophilus influenzaeに対して生体が如何に免疫応答し, これらを排除しているかを解明することは, 習慣性扁桃炎の病態を考える上で非常に重要と云える. 習慣性扁桃炎患児におけるこれらの細菌抗原に対する血清中の特異的IgG抗体価をELISA法にて測定したところ, S.Pyogenesの全菌体に対する抗体価および菌体外産生物質streptolysin-Oに対する抗体価 (ASO価) は非習慣性扁桃炎児と差を認なかった. しかしながら, グラム陽性菌の共通抗原であるリポタイコ酸に対する特異的抗体価は, 低年齢層 (0~6歳) の習慣性扁桃炎患児では非習慣性扁桃炎小児に比較して有意に低下していた. また, 抗リポタイコ酸抗体価だけでなく, S.pneumoniae莢膜多糖体やnontypable Hemophilus influenzaeのP6外膜蛋白に対する抗体価は扁桃炎の罹患頻度が多くなるにつれて有意に低下していた. 一方, 抗S.Pyogenes全菌体抗体価と扁桃炎罹患頻度の関連性は認めなかった. これらの成績から, 習慣性扁桃炎児では抗原性の強い菌体外抗原や全菌体抗原に対する免疫応答能は比較的保たれているが, 感染防御抗体の標的抗原や菌株共通抗原に対する免疫応答の発達が遅延しており, このことが扁桃炎の反復性と関連している可能性が示唆された.
ISSN:0917-5105
1884-4316
DOI:10.14821/stomatopharyngology1989.9.223