6.家族性脳動脈瘤とAVM

脳卒中の家族歴をもつ人にとって,自分も脳卒中になるのではないかという不安は消えない。著者は,健常人を対象とした脳ドックの結果から,クモ膜下出血の家族歴と未破裂脳動脈瘤発見率との重要な相互関係について報告してきた.今回は脳ドック以外で,2親等以内にクモ膜下出血の家族歴を有する外来および入院患者を対象に,無症候性未破裂脳動脈瘤の発見率を調査し,脳ドック1,000人の結果と比較した.244名中34名に41個の未破裂脳動脈瘤(13.9%)が発見された.患者を対象とした発見率は,健常人を対象とした脳ドックにおける発見率(6%)よりも有意に高かった.さらに,複数の危険因子の関与が統計学的に有意に高い発見率...

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Published in脳卒中 Vol. 21; no. 4; pp. 392 - 396
Main Author 中川, 俊男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 25.12.1999
日本脳卒中学会
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.21.4_392

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Summary:脳卒中の家族歴をもつ人にとって,自分も脳卒中になるのではないかという不安は消えない。著者は,健常人を対象とした脳ドックの結果から,クモ膜下出血の家族歴と未破裂脳動脈瘤発見率との重要な相互関係について報告してきた.今回は脳ドック以外で,2親等以内にクモ膜下出血の家族歴を有する外来および入院患者を対象に,無症候性未破裂脳動脈瘤の発見率を調査し,脳ドック1,000人の結果と比較した.244名中34名に41個の未破裂脳動脈瘤(13.9%)が発見された.患者を対象とした発見率は,健常人を対象とした脳ドックにおける発見率(6%)よりも有意に高かった.さらに,複数の危険因子の関与が統計学的に有意に高い発見率(32%; Odds ratio 3.49, 95% CI 1.37-8.90)を示した.この結果,SAHの家族歴を未破裂脳動脈瘤の危険因子とみ,さらに危険因子を二つ以上有する場合には脳動脈瘤を持つ危険性が高く,このようなハイリスク群を中心にスクリーニングを進め予防的治療をすればクモ膜下出血を減少させる可能性があると考えられる.また,脳ドックにおいて,AVMは4例(0,4%)発見されたが,家族歴を有する症例はなかった.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.21.4_392