6.破裂脳動脈瘤早期手術における術中低体温が術後脳血流に及ぼす影響

「はじめに」 くも膜下出血では, 発症早期より発生した脳循環障害が長期にわたって遷延することが知られている1)2). くも膜下出血の治療としては, 発症後72時間以内に根治手術を行う早期手術が一般的だが3), 早期手術自体, 術中一時血流遮断や脳retractionなど虚血性脳障害を加える危険性をはらんでいる4). 近年, 外傷や虚血に対する脳保護法として脳温を33~34℃に保つ軽度低体温法の臨床応用が盛んである. 脳動脈瘤手術においても, 術中脳虚血に対する脳保護の目的で術中軽度低体温法が臨床応用され, その有用性についての報告が散見されるようになった5)6). 1997年から我々の施設にお...

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Published in脳卒中 Vol. 22; no. 3; pp. 447 - 450
Main Authors 吉本, 高志, 刈部, 博, 冨永, 悌二, 佐藤, 清貴, 甲州, 啓二, 清水, 宏明, 長嶺, 義秀, 藤原, 悟
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 25.09.2000
日本脳卒中学会
Subjects
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.22.447

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Summary:「はじめに」 くも膜下出血では, 発症早期より発生した脳循環障害が長期にわたって遷延することが知られている1)2). くも膜下出血の治療としては, 発症後72時間以内に根治手術を行う早期手術が一般的だが3), 早期手術自体, 術中一時血流遮断や脳retractionなど虚血性脳障害を加える危険性をはらんでいる4). 近年, 外傷や虚血に対する脳保護法として脳温を33~34℃に保つ軽度低体温法の臨床応用が盛んである. 脳動脈瘤手術においても, 術中脳虚血に対する脳保護の目的で術中軽度低体温法が臨床応用され, その有用性についての報告が散見されるようになった5)6). 1997年から我々の施設においても, 術中の虚血性脳障害対策として術中低体温を積極的に導入している. しかしながら, 低体温の脳保護メカニズムはまだ完全に解明されておらず, 特に脳血流に対する作用としては, 虚血後の遅発性脳低灌流の抑制などの脳血流改善作用がわずかに動物実験で報告されているに過ぎない7).
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.22.447