4.重症脳梗塞に対する脳低体温療法の適応
予後不良が高頻度とされる急性脳主幹動脈閉塞の予後向上を目指して局所動注血栓溶解(A群21例)を行い,さらに脳低体温を追加(B群21例)した.両群を比較分析した.A群は平均67.6歳の意識障害(平均GCS 8.6)と局所神経脱落症状を呈した初期21例の患者で,マイクロカテーテルで血栓を破砕しながらpro-urokinase (pro-UK)の局所動注を行った.B群は上記治療後に脳低体温(35℃×3日,全体7日)を追加した平均63.4歳,平均GCS 9.7の後期21例である.再開通率は76%で,平均発症―血栓溶解終了時間はA群226分,B群219分であった.A群の転帰良好(GR+MD)は47%で,...
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Published in | 脳卒中 Vol. 22; no. 3; pp. 435 - 439 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中学会
25.09.2000
日本脳卒中学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0912-0726 1883-1923 |
DOI | 10.3995/jstroke.22.435 |
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Summary: | 予後不良が高頻度とされる急性脳主幹動脈閉塞の予後向上を目指して局所動注血栓溶解(A群21例)を行い,さらに脳低体温を追加(B群21例)した.両群を比較分析した.A群は平均67.6歳の意識障害(平均GCS 8.6)と局所神経脱落症状を呈した初期21例の患者で,マイクロカテーテルで血栓を破砕しながらpro-urokinase (pro-UK)の局所動注を行った.B群は上記治療後に脳低体温(35℃×3日,全体7日)を追加した平均63.4歳,平均GCS 9.7の後期21例である.再開通率は76%で,平均発症―血栓溶解終了時間はA群226分,B群219分であった.A群の転帰良好(GR+MD)は47%で,出血性梗塞と急性脳腫脹による予後不良が33%あった.血液脳関門機能の維持を主目的とした脳低体温を追加したB群では重症脳損傷は目標温到達の遅れた2例のみで,転帰良好は62%であった.急性脳主幹動脈閉塞の治療として局所動注血栓溶解と脳低体温の組み合わせにより予後良好な結果が期待できる. |
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ISSN: | 0912-0726 1883-1923 |
DOI: | 10.3995/jstroke.22.435 |