副咽頭間隙腫瘍5症例の検討

副咽頭間隙は解剖学的に腔として存在するものではなく, 筋膜間の仮想の空間である.この空間は前方は内・外側翼突筋, 後方は乳様突起と頸椎, 内側は咽頭収縮筋, 外側は下顎骨外側枝と耳下腺深葉被膜などによって囲まれており, 上は頭蓋底から下は舌骨大角の高さにおよぶ.副咽頭間隙に発生する腫瘍は以前は報告は少なかったが, CTおよびMRIなど診断技術の発達に伴い十分検索出来るようになり近年は発見の可能性が高まり報告例も増加しつつある.私達は5症例 (2症例が多形腺腫, 1症例が神経鞘腫, 1症例は神経性腫瘤疑, 1症例が奇形腫.) を経験したので検討を行い報告した.腫瘍の存在部位と進展範囲, 大血管と...

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Published in口腔・咽頭科 Vol. 7; no. 3; pp. 313 - 320
Main Authors 中井, 義明, 加茂, 理英, 村岡, 道徳, 兵頭, 哲裕, 若見, 暁樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔・咽頭科学会 01.06.1995
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ISSN0917-5105
1884-4316
DOI10.14821/stomatopharyngology1989.7.313

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Summary:副咽頭間隙は解剖学的に腔として存在するものではなく, 筋膜間の仮想の空間である.この空間は前方は内・外側翼突筋, 後方は乳様突起と頸椎, 内側は咽頭収縮筋, 外側は下顎骨外側枝と耳下腺深葉被膜などによって囲まれており, 上は頭蓋底から下は舌骨大角の高さにおよぶ.副咽頭間隙に発生する腫瘍は以前は報告は少なかったが, CTおよびMRIなど診断技術の発達に伴い十分検索出来るようになり近年は発見の可能性が高まり報告例も増加しつつある.私達は5症例 (2症例が多形腺腫, 1症例が神経鞘腫, 1症例は神経性腫瘤疑, 1症例が奇形腫.) を経験したので検討を行い報告した.腫瘍の存在部位と進展範囲, 大血管との関係, 腫瘍と周囲組織との癒着の程度を見るためにも画像診断の重要性にも言及した.手術方法は口内法, 頸部切開法, 経耳下腺法, 下顎骨切断による頸部咽頭切開法など種々あるが, 基本的には適切な手術視野が得られる最も良い手術方法を用いるべきと思われた.
ISSN:0917-5105
1884-4316
DOI:10.14821/stomatopharyngology1989.7.313