副鼻腔Mucor症 (鼻脳型) を発症した再発急性リンパ性白血病の男児例

再発急性リンパ性白血病 (ALL) の多剤併用化学療法中に副鼻腔Mucor症 (鼻脳型) をきたした症例を経験したので報告する.症例はcommon ALLの4歳男児 (2歳時発症) で, 骨髄再発のため入院となった.Prednisolone, etoposide, cytosinearabinoside, mitoxantroneの併用療法を行ったが, 汎血球減少の時期に抗生剤不応性の発熱が出現した.数日後に左頬部の発赤腫脹が出現し, 同時に硬口蓋に瘻孔が形成された.鼻腔粘膜の組織診から副鼻腔Mucor症 (鼻脳型) と診断した.Amphotericin-B静注療法を行ったが, 重篤な副作用の...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本小児血液学会雑誌 Vol. 8; no. 3; pp. 220 - 224
Main Authors 小鹿, 学, 手塚, 徹, 合井, 久美子, 犬飼, 岳史, 藤嶋, 美奈子, 中澤, 眞平, 白石, 恭子, 杉田, 完爾, 飯島, 純
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会 30.06.1994
Online AccessGet full text
ISSN0913-8706
1884-4723
DOI10.11412/jjph1987.8.220

Cover

Loading…
More Information
Summary:再発急性リンパ性白血病 (ALL) の多剤併用化学療法中に副鼻腔Mucor症 (鼻脳型) をきたした症例を経験したので報告する.症例はcommon ALLの4歳男児 (2歳時発症) で, 骨髄再発のため入院となった.Prednisolone, etoposide, cytosinearabinoside, mitoxantroneの併用療法を行ったが, 汎血球減少の時期に抗生剤不応性の発熱が出現した.数日後に左頬部の発赤腫脹が出現し, 同時に硬口蓋に瘻孔が形成された.鼻腔粘膜の組織診から副鼻腔Mucor症 (鼻脳型) と診断した.Amphotericin-B静注療法を行ったが, 重篤な副作用のため, 抗真菌剤をHuconazoleと5-Huorocytosineの併用に変更した.顆粒球減少症に対してはgranulocyte-colony stimulating factorの投与を行ったが, Mucor症発症から5カ月で死亡した.顆粒球減少時の, 副鼻腔真菌症を含む致死的深部真菌症の予防には, より積極的な管理が必要であると考えられる.
ISSN:0913-8706
1884-4723
DOI:10.11412/jjph1987.8.220