血液透析患者における血清骨γ-カルボキシグルタミン酸含有蛋自質 (BGP) の臨床的研究

骨に特異的な蛋白質であるγ-カルボキシグルタミン酸含有蛋白質 (γ-carboxyglutamic acid-containing protein of bone: BGP) を血液透析患者で測定し, 他の生化学的データとの相関およびマイクロデンシトメトリー法 (MD法) による骨病変との相関を検討した. 血清BGP値はクレアチニン・クリアランス (C cr) が30ml分以下になると急激に増加した. BGPが腎で分解・排泄をうけることと, C crが60ml分以下になると骨の組織学的変化をきたすことが, BGPの上昇に関係していると考えられた. したがって腎機能低下時のBGP値上昇には腎と骨...

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Published in日本透析療法学会雑誌 Vol. 22; no. 1; pp. 55 - 60
Main Authors 堤, ちはる, 森内, 幸子, 大塚, 和子, 小出, 輝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本透析医学会 28.01.1989
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ISSN0911-5889
1884-6211
DOI10.4009/jsdt1985.22.55

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Summary:骨に特異的な蛋白質であるγ-カルボキシグルタミン酸含有蛋白質 (γ-carboxyglutamic acid-containing protein of bone: BGP) を血液透析患者で測定し, 他の生化学的データとの相関およびマイクロデンシトメトリー法 (MD法) による骨病変との相関を検討した. 血清BGP値はクレアチニン・クリアランス (C cr) が30ml分以下になると急激に増加した. BGPが腎で分解・排泄をうけることと, C crが60ml分以下になると骨の組織学的変化をきたすことが, BGPの上昇に関係していると考えられた. したがって腎機能低下時のBGP値上昇には腎と骨の2つの因子が影響を与えており, その成因は複雑である. 透析症例の血清BGPは高値を示したが, 広い範囲にばらついていた. BGPはAI-P, PTH-Cとの間に正相関を認め (r=0.49 p<0.01, r=0.73 P<0.01), 骨のturnoverの有用な指標になると考えられた. しかし, BGPとMD法の各パラメーター (MCI, ΣGS/D, ΔGSmin) との間には何ら相関を認めず, BGPは骨量の指標になるとはいいがたいと思われた. また, BGPは透析期間, 年齢とは有意な相関がなく, これらには影響をうけないと考えられた.
ISSN:0911-5889
1884-6211
DOI:10.4009/jsdt1985.22.55