血液疾患に合併した重症感染症に対するチカルシリンの治療効果 阪神造血器疾患感染症研究グループ
チカルシリン (TIPC) は, カルベニシリン (CBPC), スルベニシリン (SBPC) に類似した抗菌スペクトルをもっ広範囲半合成ペニシリンで, Pseudomonas aeruginosaを始めとするグラム陰性桿菌に対する抗菌, 殺菌作用は一般にCBPC, SBPCより強いとされている)。血液疾患に伴なう感染症に対して, CBPC, SBPCの天量投与にアミノ配糖体系あるいはセフェム系抗生剤の併用は現在広く用いられ, これらのペニシリン剤は大量投与 (20-30g/日) しても毒性の問題は少なく, 安全性が高いことがみとめられている。しかし, 大量投与にはNaのオーバーロードとそれに...
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Published in | The Japanese Journal of Antibiotics Vol. 34; no. 11; pp. 1451 - 1456 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
25.11.1981
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Summary: | チカルシリン (TIPC) は, カルベニシリン (CBPC), スルベニシリン (SBPC) に類似した抗菌スペクトルをもっ広範囲半合成ペニシリンで, Pseudomonas aeruginosaを始めとするグラム陰性桿菌に対する抗菌, 殺菌作用は一般にCBPC, SBPCより強いとされている)。血液疾患に伴なう感染症に対して, CBPC, SBPCの天量投与にアミノ配糖体系あるいはセフェム系抗生剤の併用は現在広く用いられ, これらのペニシリン剤は大量投与 (20-30g/日) しても毒性の問題は少なく, 安全性が高いことがみとめられている。しかし, 大量投与にはNaのオーバーロードとそれに伴なう低K血症, 血液凝固系に対する影響などの懸念があり, TIPCにより投与量を減量することが可能であれば, 臨床的な意義は大きいものと考えられる。 既にTIPCの一般感染症に対する治療効果については多くの文献があり, CBPC, SBPCの半量で同等の効果をもつことがみとめられている)。またTIPCは, CBPCなどと同様, P.aeruginosaなどに対しアミノ配糖体との間に併用による相乗効果がみとめられている)。 ところで, 血液の腫瘍性疾憲では強力な化学療法や疾患自体により正常な白血球の絶対数が著るしく減少し, しかも起筆菌が不明のことが多く, 単一の抗生剤で治療を開始することは実際上殆どおこなわれていない 。われわれはTIPCとアミノ配糖体系抗生剤の併用を基本として, 症例により本剤単独あるいはセフェム系抗生剤との併用を臨床判断に基づいて選択するというプロトコールによつて, 各種血液疾患に合併した感染症に対する本剤の治療効果の検討を試みたので, 以下その成績を報告する。 |
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ISSN: | 0368-2781 2186-5477 |
DOI: | 10.11553/antibiotics1968b.34.1451 |