Parathyroid hormone related protein およびG-CSF産生が認められた高カルシウム血症, 白血球増多症を呈した食道扁平上皮癌の1例

Parathyroid hormone related protein (PTHrP) およびG-CSF産生が直接癌細胞から証明された高Ca血症, 白血球増多症を呈した食道扁平上皮癌の1例を経験した. 症例は72歳の男性.UtからMtにかけ長径約6cmの2型の腫瘍を認めた. 術前検査ではWBC 12, 100/mm3と白血球増多を認めたが, イオン化カルシウムは1.21mmol/lと正常範囲内であった.食道亜全摘, リンパ節郭清, 胃管による胸骨後再建を行った. 術後WBCは一時正常化したが, 高Ca血症の出現と同時に再上昇した.血中PTHrPが306pmol/lと高値であったため大量輸液,...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 35; no. 1; pp. 35 - 39
Main Authors 丹治, 英裕, 嶋本, 文雄, 江本, 健太郎, 杉野, 圭三, 八幡, 浩, 片岡, 健, 篠崎, 勝則, 浅原, 利正, 沖元, 達也, 滝口, 透
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2002
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.35.35

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Summary:Parathyroid hormone related protein (PTHrP) およびG-CSF産生が直接癌細胞から証明された高Ca血症, 白血球増多症を呈した食道扁平上皮癌の1例を経験した. 症例は72歳の男性.UtからMtにかけ長径約6cmの2型の腫瘍を認めた. 術前検査ではWBC 12, 100/mm3と白血球増多を認めたが, イオン化カルシウムは1.21mmol/lと正常範囲内であった.食道亜全摘, リンパ節郭清, 胃管による胸骨後再建を行った. 術後WBCは一時正常化したが, 高Ca血症の出現と同時に再上昇した.血中PTHrPが306pmol/lと高値であったため大量輸液, フロセミド, エルシトニン, ビスフォスフォネート投与を行ったが, 術後88日目に死亡した.患者腫瘍の培養細胞上清よりPTHrPの産生が認められ, 免疫染色によりPTHrPおよびG-CSFが陽性に認められた.食道扁平上皮癌において直接癌細胞からPTHrP, G-CSFの産生が証明されたのは調べえた限り本症例が初めてであった.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.35.35