新しい定量DSGEモデルによる政策シミュレーションとその含意~人口減少下の我が国における超長期の経済の姿

人口減少に直面する我が国が持続的に成長するには、潜在成長力を高めることが不可欠である。人口減少そのものや、無形資産の蓄積、人的投資などの政策対応が経済に及ぼす影響は短期的なものではないことから、それらの分析・評価のためには超長期の分析ツールが必要となる。そこで本稿では、寺本(2025)に基づいて開発された 新しい定量DSGE モデルを用いて、超長期の経済の姿をシミュレーションした。具体的には、人口減少を扱うとともに、潜在成長力の源泉として①無形資産の蓄積、②人的投資の2つに着目し、複数の政策シナリオの下、政策の定量的な効果を算出した。その結果、将来の人口減少は、例えば、出生率が 1.3 のまま...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in経済分析 Vol. 210; p. 210_04
Main Authors 平井 滋, 川本 琢磨, 高橋 和宏, 望月 亮治, 野村 裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 内閣府経済社会総合研究所 24.07.2025
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0453-4727
2758-9900
DOI10.60294/keizaibunseki.210_04

Cover

More Information
Summary:人口減少に直面する我が国が持続的に成長するには、潜在成長力を高めることが不可欠である。人口減少そのものや、無形資産の蓄積、人的投資などの政策対応が経済に及ぼす影響は短期的なものではないことから、それらの分析・評価のためには超長期の分析ツールが必要となる。そこで本稿では、寺本(2025)に基づいて開発された 新しい定量DSGE モデルを用いて、超長期の経済の姿をシミュレーションした。具体的には、人口減少を扱うとともに、潜在成長力の源泉として①無形資産の蓄積、②人的投資の2つに着目し、複数の政策シナリオの下、政策の定量的な効果を算出した。その結果、将来の人口減少は、例えば、出生率が 1.3 のまま停滞する場合、超長期の経済成長率が約2.1%pt押し下げられるなど、経済成長に大きなマイナスのインパクトを与える姿が示された。一方で、無形資産の蓄積や人的投資といった各種政策対応は、超長期の経済成長率を相当程度に押し上げる効果を有することも示唆された。一例として、イノベーション促進の政策対応が継続的に行われた場合、超長期で約1.5%pt経済成長率を押し上げる可能性が示された。
ISSN:0453-4727
2758-9900
DOI:10.60294/keizaibunseki.210_04