リン酸コバルト触媒によるC3H6またはCH4を還元剤とするNOxの選択還元反応

種々の金属リン酸についてC3H6を用いたNOの選択還元反応を検討したところ, Co3(PO4)2およびGaPO4において高いNO還元活性が得られることを見い出した。検討した金属リン酸塩の中ではCo3(PO4)2はNOの選択還元に最も高い活性を示し, その結晶構造の安定性から排ガス浄化に高い活性を長時間にわたって維持すると期待された。また, 金属リン酸塩は還元剤のC3H6の単純酸化反応が進行しにくく, 炭化水素が選択還元に有効に利用されることがわかった。一方, 還元剤にCH4を用いたところCo3(PO4)2ではNOの還元反応はほとんど進行しなかったが, Ptなどの貴金属を添加することによりCH4...

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Published in石油学会誌 Vol. 42; no. 4; pp. 258 - 265
Main Authors 香川, 勝, 木村, 秀治, 西口, 宏泰, 石原, 達己, 滝田, 祐作
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 公益社団法人 石油学会 01.07.1999
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Summary:種々の金属リン酸についてC3H6を用いたNOの選択還元反応を検討したところ, Co3(PO4)2およびGaPO4において高いNO還元活性が得られることを見い出した。検討した金属リン酸塩の中ではCo3(PO4)2はNOの選択還元に最も高い活性を示し, その結晶構造の安定性から排ガス浄化に高い活性を長時間にわたって維持すると期待された。また, 金属リン酸塩は還元剤のC3H6の単純酸化反応が進行しにくく, 炭化水素が選択還元に有効に利用されることがわかった。一方, 還元剤にCH4を用いたところCo3(PO4)2ではNOの還元反応はほとんど進行しなかったが, Ptなどの貴金属を添加することによりCH4の燃焼活性を向上させると, CH4を用いてもO2共存下でNOの選択還元が進行できることがわかった。昇温脱離法による吸着種の反応性を検討したところ, Co3(PO4)2上ではNOが解離的に吸着し, まず直接分解でN2を生成すると推定された。一方, O2は触媒上に強く吸着し, 脱離しにくい。Co3(PO4)2によるNOの直接分解を検討したところ, NOの直接分解反応が比較的高い転化率で進行し, N2が生成したが, O2は生成しなかった。以上より, Co3(PO4)2によるNOの選択還元は, まずCo3(PO4)2上へのNOの解離的吸着によるN2生成で開始され, C3H6またはCH4は共存する気相酸素との反応で活性化され, 触媒上に残った酸素を除去する機構で反応は進行する推定された。
ISSN:0582-4664
DOI:10.1627/jpi1958.42.258