中葉原発非小細胞肺癌におけるリンパ節郭清 転移範囲の解析と上葉気管支周囲リンパ節(#12u)郭清の適否
中葉からのリンパ流は,通常分岐部を経由し上縦隔へ向かうものが主体だが,上葉気管支周囲リンパ節(#12u)を経由し上縦隔へ向かうとの報告もある.当院では,中葉原発非小細胞肺癌(NSCLC)切除時に標準郭清(ND2a)に加え#12u郭清を選択的に行っているが,その意義は不明であり,その適否を検討した.対象は,1980年~2004年までに完全切除施行の中葉原発NSCLC133例のうち,多発肺癌を除くND2aを行った86例(#12u郭清/非郭清:47/39例).リンパ節転移率は,N0/N1/N2:76/9/15%.#12u転移はN2症例2例のみで,多領域リンパ節転移を伴い予後不良であった.5生率は,#...
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Published in | 日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 20; no. 6; pp. 811 - 818 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
15.09.2006
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Subjects | |
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ISSN | 0919-0945 1881-4158 |
DOI | 10.2995/jacsurg.20.811 |
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Summary: | 中葉からのリンパ流は,通常分岐部を経由し上縦隔へ向かうものが主体だが,上葉気管支周囲リンパ節(#12u)を経由し上縦隔へ向かうとの報告もある.当院では,中葉原発非小細胞肺癌(NSCLC)切除時に標準郭清(ND2a)に加え#12u郭清を選択的に行っているが,その意義は不明であり,その適否を検討した.対象は,1980年~2004年までに完全切除施行の中葉原発NSCLC133例のうち,多発肺癌を除くND2aを行った86例(#12u郭清/非郭清:47/39例).リンパ節転移率は,N0/N1/N2:76/9/15%.#12u転移はN2症例2例のみで,多領域リンパ節転移を伴い予後不良であった.5生率は,#12u郭清/非郭清で68/78%であり有意差を認めなかった(P=0.32).再発は25例(29%)に認め,#12u郭清群に有意に多かったが(P=0.001),#12uの局所再発は認めなかった.以上より,中葉原発NSCLCにおいて#12u郭清の効果は明らかでなく,意義はないものと考えられた. |
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ISSN: | 0919-0945 1881-4158 |
DOI: | 10.2995/jacsurg.20.811 |