妊娠中期以降に胎児異常を診断された妊産婦の体験 妊娠中から分娩後1か月までの継続ケアを通して

目的 本研究は, 妊娠中期以降に胎児異常を診断された妊産婦が, 妊娠中から分娩後1か月の間にどのような体験をしているのかを明らかにする。 対象および方法 対象は妊娠22週以降に超音波検査によって胎児異常を診断され, その後の妊娠, 分娩, 産褥期間を大学病院で管理もしくは治療を受ける妊産婦5名であった。データ収集には参加観察法と面接法を用い, 面接は妊娠中から分娩後1か月の期間に4回実施した。得られたデータは, 対象者ごとに体験していることや思いが明らかになるように帰納的に分析した。 結果 胎児異常を診断された妊産婦は時間的経過に伴い, 以下のような8つのプロセスを体験していた。「突然に胎児異...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本助産学会誌 Vol. 17; no. 2; pp. 16 - 26
Main Author 上條, 陽子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本助産学会 31.12.2003
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0917-6357
1882-4307
DOI10.3418/jjam.17.2_16

Cover

More Information
Summary:目的 本研究は, 妊娠中期以降に胎児異常を診断された妊産婦が, 妊娠中から分娩後1か月の間にどのような体験をしているのかを明らかにする。 対象および方法 対象は妊娠22週以降に超音波検査によって胎児異常を診断され, その後の妊娠, 分娩, 産褥期間を大学病院で管理もしくは治療を受ける妊産婦5名であった。データ収集には参加観察法と面接法を用い, 面接は妊娠中から分娩後1か月の期間に4回実施した。得られたデータは, 対象者ごとに体験していることや思いが明らかになるように帰納的に分析した。 結果 胎児異常を診断された妊産婦は時間的経過に伴い, 以下のような8つのプロセスを体験していた。「突然に胎児異常を告げられて驚き, ショックを受ける」「不確定な診断に期待をこめる」「当面の目標を築く」「確定診断により, さらなるショックを受ける」「分娩までにさまざまな思いが交錯する」「出産に対して不安を抱く」「母の思いが我が子に寄り添う」「我が子から教えられ, 自分自身が成長する」。以上のことから, 妊娠中期以降に胎児異常を診断された妊産婦は, 精神的ショックや身体的苦痛を繰り返し体験する中でも, 妊産婦の根底には我が子への期待と温かい思いが存在していた。 結論 本研究の結果から, 看護者は妊産婦に寄り添って見守る姿勢が大切であること, 胎児異常だけに集中しないケアが求められていることが示唆された。
ISSN:0917-6357
1882-4307
DOI:10.3418/jjam.17.2_16