Microparticle Enzyme Immunoassay (MEIA) 法によるジゴキシン血中濃度測定の評価

「緒言」強心配糖体であるジゴキシンはうっ血性心不全, 心房細動粗動による頻脈, 発作性上質性頻拍などの治療, 心不全および頻脈の予防に広く用いられている. しかし副作用の発生頻度も高く, その中毒症状としては, 不整脈, 食欲不振, 嘔気, 嘔吐, 頭痛などが現れる. また1969年にSmith1)らによりジゴキシンラジオイムノアッセイ(RIA)法が開発され, 血中ジゴキシン濃度が治療効果副作用発現の指標となることが明らかとなり, 早くからTherapeutic Drug Monitoring(TDM)の対象となった薬剤である. 日常のTDMに用いられるジゴキシン血中濃度測定法としては, 現在...

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Published in病院薬学 Vol. 23; no. 5; pp. 454 - 459
Main Authors 杉岡, 信幸, 保岡, 和幸, 宇野, 彰, 岡田, 敬子, 小山, 光, 河窪, 麻里子, 長野, 命子, 岸本, 英機, 高田, 寛治, 安村, 忠樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本医療薬学会 10.10.1997
日本病院薬学会
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Summary:「緒言」強心配糖体であるジゴキシンはうっ血性心不全, 心房細動粗動による頻脈, 発作性上質性頻拍などの治療, 心不全および頻脈の予防に広く用いられている. しかし副作用の発生頻度も高く, その中毒症状としては, 不整脈, 食欲不振, 嘔気, 嘔吐, 頭痛などが現れる. また1969年にSmith1)らによりジゴキシンラジオイムノアッセイ(RIA)法が開発され, 血中ジゴキシン濃度が治療効果副作用発現の指標となることが明らかとなり, 早くからTherapeutic Drug Monitoring(TDM)の対象となった薬剤である. 日常のTDMに用いられるジゴキシン血中濃度測定法としては, 現在ではRIA法の他, 蛍光偏光免疫測定(FPIA)法, ネフェロメトリックイムノアッセイ(NIA)法, 酵素免疫測定(EIA)法などがあるが, FPIA法が簡易迅速性の点で多く用いられている. 今回我々は新たに開発されたマイクロパーティクルEIA(MEIA)法による血中ジゴキシン濃度測定キット(IMxジゴキシンシステム)を使用する機会を得た. そこで臨床使用における有用性を評価する目的で, この測定法の再現性, 内因性ジゴキシン様物質(Endogenous digoxin-like immunoreactive substance;EDLS)やその他交差反応の可能性のある薬剤の影響などの基礎的検討をFPIA法との比較により行った. 実験材料方法 1. 対象 IMxジゴキシンキャリブレータ, IMxジゴキシンコントロール(ダイナボット社)およびジゴキシン投薬中の患者153名より採血した血清を対象とした. またEDLSは乳児2, 3), 腎障害患者4)などで見られることから, ジゴキシンを服用していない透析患者42名と生後6ヵ月未満の乳児24名より得た血清をも対象に加えた. 血液試料は採血後室温で1時間放置した後3000rpm, 10分の遠心分離により血清を分離した. 血清は4℃で保存し8時間以内に測定に用いた. なお, ジゴキシン測定データおよび検査残余血清の本研究への使用にあたってはそれぞれ患者もしくは家族の同意を得た.
ISSN:0389-9098
2185-9477
DOI:10.5649/jjphcs1975.23.454