ピオグリタゾン(アクトス®)の誕生とエビデンス
「はじめに」武田薬品が開発したチアゾリジン(TZD)系経口血糖降下薬, ピオグリタゾン(アクトス(R))は, 現在, 100を超える国と地域で発売されており, 多くの糖尿病診療医から支持されている. これは, インスリン抵抗性の改善と膵β細胞保護により長期にわたって安定した血糖コントロールが得られることや, 糖尿病治療薬で初めて心血管系イベントの抑制を示したエビデンスがあることを理由としても過言でないだろう. 本稿では, ピオグリタゾンが誕生するまでの経緯と代表的なエビデンスを紹介する. 「ピオグリタゾンの誕生」武田薬品の糖尿病研究の歴史を紐解くと, 約半世紀前まで遡る. 1948年. 米国で...
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Published in | 医療 Vol. 62; no. 11; pp. 637 - 638 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 国立医療学会
20.11.2008
国立医療学会 |
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Summary: | 「はじめに」武田薬品が開発したチアゾリジン(TZD)系経口血糖降下薬, ピオグリタゾン(アクトス(R))は, 現在, 100を超える国と地域で発売されており, 多くの糖尿病診療医から支持されている. これは, インスリン抵抗性の改善と膵β細胞保護により長期にわたって安定した血糖コントロールが得られることや, 糖尿病治療薬で初めて心血管系イベントの抑制を示したエビデンスがあることを理由としても過言でないだろう. 本稿では, ピオグリタゾンが誕生するまでの経緯と代表的なエビデンスを紹介する. 「ピオグリタゾンの誕生」武田薬品の糖尿病研究の歴史を紐解くと, 約半世紀前まで遡る. 1948年. 米国では, 当時の死亡原因の第1位であった虚血性心疾患の原因究明を目的に, フラミンガム研究が始まった. 一方, わが国では「もはや戦後ではない」の掛け声を支えに急速な経済成長期を迎え, 豊かな食生活と自動車社会の時代を迎えた. このような生活様式が一般化すれば, 必ずや米国と同様の事態がおこると推測した武田薬品の研究員は, まず, 肥満にともなう高血糖の病態解明の研究に着手した. |
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ISSN: | 0021-1699 1884-8729 |
DOI: | 10.11261/iryo1946.62.637 |