1.脳血栓症急性期に対する抗トロンビン薬アルガトロバンの治療効果

「はじめに」 合成抗トロンビン薬アルガトロバンは, アルギニン誘導体でトロンビンに対して選択的な阻害作用を有し1, 2), トロンビンによるフィブリン生成, 血小板凝集, 血管収縮作用を抑制する. 臨床的にはプラセボを対照とした二重盲検比較試験3)により脳血栓症急性期の神経症候および日常生活動作障害の改善に高い有用性が認められている. 脳血栓症は臨床症候が多様であるためその重症度を評価することは容易ではないが, 現在, 客観的な指標の一つとして日常生活動作障害を評価するBarthel Indexが使用されている4). 今回, われわれは脳血栓症急性期症例に対して積極的にアルガトロバンを投与し,...

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Published in脳卒中 Vol. 20; no. 6; pp. 662 - 668
Main Authors 新納, 正毅, 門田, 紘輝, 内村, 公一, 倉津, 純一, 下鶴, 哲郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 25.12.1998
日本脳卒中学会
Subjects
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.20.662

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Summary:「はじめに」 合成抗トロンビン薬アルガトロバンは, アルギニン誘導体でトロンビンに対して選択的な阻害作用を有し1, 2), トロンビンによるフィブリン生成, 血小板凝集, 血管収縮作用を抑制する. 臨床的にはプラセボを対照とした二重盲検比較試験3)により脳血栓症急性期の神経症候および日常生活動作障害の改善に高い有用性が認められている. 脳血栓症は臨床症候が多様であるためその重症度を評価することは容易ではないが, 現在, 客観的な指標の一つとして日常生活動作障害を評価するBarthel Indexが使用されている4). 今回, われわれは脳血栓症急性期症例に対して積極的にアルガトロバンを投与し, 神経症候に対する治療効果およびBarthel Indexを用いた日常生活動作障害に対する治療効果を評価したので報告する. 「I. 試験方法」 1996年7月より1996年12月までの期間に鹿児島県内の12施設(表1)において実施された.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.20.662