3.無症候性脳梗塞と高血圧

脳ドックを受診した健常者で,その後の消息が判明した1,087名を対象に無症候性脳梗塞と高血症の関係について検討した.高血圧既往が無症候性脳梗塞を有する群では有意に高率で,受診時血圧,日常血圧も有意に高値であった.高血圧の管理状況との関係について高血圧群で検討したが,高血圧持続期間,日常血圧,受診時血圧のいずれも無症候性脳梗塞と関連しなかった.降圧薬服薬状況と無症候性脳梗塞との関係もみられなかった.一方,脳卒中発症との関係をみると,受診時血圧が高いほど発症率が高く,また無症候性脳梗塞で高血圧を有する群では高血圧のない群に比して明らかに高率であった.高血圧に脳卒中家族歴合併群でも家族歴のない群に比...

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Published in脳卒中 Vol. 20; no. 6; pp. 545 - 549
Main Authors 須山, 信夫, 小林, 祥泰, 長井, 篤, 山口, 修平, 土谷, 治久, 岡田, 和悟
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 25.12.1998
日本脳卒中学会
Subjects
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.20.545

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Summary:脳ドックを受診した健常者で,その後の消息が判明した1,087名を対象に無症候性脳梗塞と高血症の関係について検討した.高血圧既往が無症候性脳梗塞を有する群では有意に高率で,受診時血圧,日常血圧も有意に高値であった.高血圧の管理状況との関係について高血圧群で検討したが,高血圧持続期間,日常血圧,受診時血圧のいずれも無症候性脳梗塞と関連しなかった.降圧薬服薬状況と無症候性脳梗塞との関係もみられなかった.一方,脳卒中発症との関係をみると,受診時血圧が高いほど発症率が高く,また無症候性脳梗塞で高血圧を有する群では高血圧のない群に比して明らかに高率であった.高血圧に脳卒中家族歴合併群でも家族歴のない群に比して脳卒中発症率が明らかに高率であった.これらの結果は無症候性脳梗塞さらにその後の脳卒中発症に高血圧だけでなく何らかの遺伝的素因が関与している可能性を示唆するものと考えられる.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.20.545