術前CTで診断した虫垂嵌頓鼠径ヘルニア (Amyand's hernia) の1例
症例は71歳, 女性. 主訴は右鼠径部腫脹, 圧痛. 初診の1週間前より主訴が出現した. 近医受診し, 抗生剤の点滴加療で経過観察されたが症状改善しないため, 当院を紹介受診した. 受診時, 右鼠径部から恥骨結合にかけて, 著明な圧痛を伴う発赤と腫脹を認めた. 腹部CTで, 壁の肥厚した虫垂を認めた. 虫垂は内側鼠径窩付近で盲端になり, そこから連続性に右鼠径部の皮下にガス像を伴う膿瘍を認めた. 虫垂が嵌頓した鼠径ヘルニアと診断して緊急手術を施行した. 下腹部正中切開で開腹すると, 内側鼠径窩に嵌頓した虫垂を認めた. 腹腔内への炎症の波及は認めなかった. 腹腔内への汚染を防ぐため, 虫垂の脱転...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 68; no. 9; pp. 2398 - 2402 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.09.2007
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.68.2398 |
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Summary: | 症例は71歳, 女性. 主訴は右鼠径部腫脹, 圧痛. 初診の1週間前より主訴が出現した. 近医受診し, 抗生剤の点滴加療で経過観察されたが症状改善しないため, 当院を紹介受診した. 受診時, 右鼠径部から恥骨結合にかけて, 著明な圧痛を伴う発赤と腫脹を認めた. 腹部CTで, 壁の肥厚した虫垂を認めた. 虫垂は内側鼠径窩付近で盲端になり, そこから連続性に右鼠径部の皮下にガス像を伴う膿瘍を認めた. 虫垂が嵌頓した鼠径ヘルニアと診断して緊急手術を施行した. 下腹部正中切開で開腹すると, 内側鼠径窩に嵌頓した虫垂を認めた. 腹腔内への炎症の波及は認めなかった. 腹腔内への汚染を防ぐため, 虫垂の脱転は行わず, 右鼠径部を切開し排膿した. 絞扼され, 黒色に壊死したヘルニア嚢を認めた. 嵌頓部位より末梢の虫垂は, 融解していた. 虫垂を腹腔内へ還納し, 虫垂根部を結紮, 切除して断端は埋没した. 術後経過は順調で第28病日で退院した. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.68.2398 |