術後感染防止効果の評価方法に関する検討 Febrile Morbidity Fever Indexを中心として
手術後に発生する感染を防止することは, 術後患者の管理にとつて臨床上, 極めて重要である。現在, 各種の抗生物質が術後感染防止を目的として使用されているが, 抗生物質の有効性あるいは適切な投与方法に関する検討は余りなされていない。以上の事実は, 術後感染の存在や程度を客観的に立証することが困難であり, 投与した抗生物質の感染防止効果をいかに評価すべきかの指標が確立されていないためと思われる。 産婦人科領域における腹式あるいは腟式単純子宮全摘出術は, 腟内常在菌が術後の腟断端部から骨盤死腔に侵入して感染を起す危険を有するために準無菌手術に属する。従つて本手術は抗生物質投与による術後感染防止の適応...
Saved in:
Published in | The Japanese Journal of Antibiotics Vol. 38; no. 6; pp. 1703 - 1711 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
25.06.1985
|
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | 手術後に発生する感染を防止することは, 術後患者の管理にとつて臨床上, 極めて重要である。現在, 各種の抗生物質が術後感染防止を目的として使用されているが, 抗生物質の有効性あるいは適切な投与方法に関する検討は余りなされていない。以上の事実は, 術後感染の存在や程度を客観的に立証することが困難であり, 投与した抗生物質の感染防止効果をいかに評価すべきかの指標が確立されていないためと思われる。 産婦人科領域における腹式あるいは腟式単純子宮全摘出術は, 腟内常在菌が術後の腟断端部から骨盤死腔に侵入して感染を起す危険を有するために準無菌手術に属する。従つて本手術は抗生物質投与による術後感染防止の適応となる。本手術の適応は, 子宮筋腫のことが多く, 更に, 患者の年令は45才前後であり, 手術術式, 時間あるいは出血量などの術後感染に影響すると思われる諸因子が比較的均一であるために, 本手術は抗生物質の感染防止効果を比較検討しやすい利点を有する。 今回, 我々は首都圏13施設の協力を得て, 術後感染防止に関する研究会を組織して, 本手術を施行した患者に対する抗生物質の感染防止効果を評価する指標について検討を加え若干の知見を得たので報告する。 |
---|---|
ISSN: | 0368-2781 2186-5477 |
DOI: | 10.11553/antibiotics1968b.38.1703 |