扁平上皮関連抗原(Squamous Cell Carcinoma Related Antigen: SCC)Kitの基礎的・臨床的検討

近年, 扁平上皮関連抗原測定用キツトが加藤らによつて開発された. 我々は, 本測定系の基礎的検討をするとともに各種扁平上皮癌とその他の悪性腫瘍, および良性疾患を対比し腫瘍マーカーとしての有効性について検討した. 基礎的検討では, 添加回収率は理論値よりやや低い回収率であつたが, 希釈試験は理論値と一致した直線性を示し, 同時, 測定間の再現性も5%未満であり, 良好な結果であつた. 次に本測定系で行つた全扁平上皮癌における陽性率は48.9%(45/92例)であり, その内訳は, 食道癌は40.4%(19/47例), 肺癌は62.5%(10/16例), 子宮頸癌は57.9%(11/19例)であ...

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Published in医療 Vol. 40; no. 6; pp. 549 - 553
Main Authors 佐藤, 仁政, 田島, 幸, 高原, 淑子, 土器屋, 卓志, 大棒, 秀一, 石橋, 章彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 20.06.1986
医療同好会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.40.549

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Summary:近年, 扁平上皮関連抗原測定用キツトが加藤らによつて開発された. 我々は, 本測定系の基礎的検討をするとともに各種扁平上皮癌とその他の悪性腫瘍, および良性疾患を対比し腫瘍マーカーとしての有効性について検討した. 基礎的検討では, 添加回収率は理論値よりやや低い回収率であつたが, 希釈試験は理論値と一致した直線性を示し, 同時, 測定間の再現性も5%未満であり, 良好な結果であつた. 次に本測定系で行つた全扁平上皮癌における陽性率は48.9%(45/92例)であり, その内訳は, 食道癌は40.4%(19/47例), 肺癌は62.5%(10/16例), 子宮頸癌は57.9%(11/19例)であつた. なお健常群のcut off値は2.65ng/ml設定し, 男女間の有意差はなかつた. SCC抗原は, 扁平上皮癌, 特に子宮頸癌, 肺扁平上皮癌, 食道癌についてはCEAより陽性率が上昇し, 補助的診断, 経過観察に役立つものと考えられた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.40.549