テオフィリンとロイコトリエン受容体拮抗薬プランルカストの薬物動態学的相互作用の検討
「緒言」テオフィリンは現在でも多くの気管支喘息患者に使われている薬物であるが, 血中濃度と副作用の関係から安全域が狭いこと, さらに薬物動態における個人差が大きいことなどが知られている. 最近の治療薬物濃度モニタリングの進歩により血中濃度のコントロールが可能になり, その有効血中濃度は8-20μg/mlとされている1). ヒトにおいては, 85-90%が肝臓のチトクロームP-450により脱メチルと酸化を受け2), 代謝物, 未変化体とも尿中に排泄される. またテオフィリンの添付文書に記載されている相互作用の中でその多くは, P-450の阻害あるいは誘導における相互作用である. したがって, テ...
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Published in | 病院薬学 Vol. 23; no. 6; pp. 507 - 511 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本医療薬学会
10.12.1997
日本病院薬学会 |
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ISSN | 0389-9098 2185-9477 |
DOI | 10.5649/jjphcs1975.23.507 |
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Summary: | 「緒言」テオフィリンは現在でも多くの気管支喘息患者に使われている薬物であるが, 血中濃度と副作用の関係から安全域が狭いこと, さらに薬物動態における個人差が大きいことなどが知られている. 最近の治療薬物濃度モニタリングの進歩により血中濃度のコントロールが可能になり, その有効血中濃度は8-20μg/mlとされている1). ヒトにおいては, 85-90%が肝臓のチトクロームP-450により脱メチルと酸化を受け2), 代謝物, 未変化体とも尿中に排泄される. またテオフィリンの添付文書に記載されている相互作用の中でその多くは, P-450の阻害あるいは誘導における相互作用である. したがって, テオフィリンと他の薬物を併用する場合, 代謝における相互作用に十分注意する必要がある. プランルカスト(商品名:オノン)は, 気管支喘息の原因物質と考えられているロイコトリエンの作用に拮抗し, 臨床試験においても気管支喘息患者に対してその有用性が認められている薬物である. 本薬物は, 主に肝臓で約10%が, 1回もしくは2回水酸化されて排泄されるが3), 代謝酵素であるP-450の分子種は未同定である. 今回, テオフィリン服用患者にプランルカストを併用させた場合, プランルカストがテオフィリンの血中濃度に影響を与えるか否かを検討する目的で以下の試験を行った. 方法 1. 薬物投与および試料の採取 テオフィリン(商品名:テオロング)を, 200-400mgの投与量で4週間以上服用している外来患者に対し, テオフィリンの血中濃度を測定するため血液を肘静脈より採取した.さらにプランルカスト450mgを4-8週間併用した後に, 同様に血液を採取した. 採血はプランルガスト投与前後でそれぞれ1回とし, ほぼ同じ時間に採血した. 採取した血液は約15分間室温に放置した後に遠心分離し, 測定まで血清を-20℃で凍結保存した. |
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ISSN: | 0389-9098 2185-9477 |
DOI: | 10.5649/jjphcs1975.23.507 |