入院中の造血器腫瘍患者の身体活動評価についての一考察 1軸および3軸加速度計を用いて

【目的】 造血器腫瘍患者の治療は多様で,多剤高用量の抗がん剤を使用するため有害事象が強く出ることが多く,患者の日常生活動作(以下ADL)を制限し,長期臥床および廃用症候群を引き起こす.今回,各活動範囲における造血器腫瘍患者の日常生活活動量を把握する目的で活動強度に着目し測定した. 【方法】 対象は,治療により活動範囲制限のある造血器腫瘍患者8名(男性4名,女性4名,57.6±12.9歳,ベッド上1名,病室内2名,病棟内2名,院内5名)で,活動強度測定には加速度計付歩数計(以下,加速度計)を用い,入院中の活動強度(MET)を測定した.加速度計には生活習慣記録機(Lifecorder GS,株式会...

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Published in九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 p. 322
Main Authors 文, 哲也, 西村, 繁典, 斎藤, 弘道, 加藤, 美津子, 中島, 義博, 志波, 直人, 岡村, 孝, 長藤, 宏司, 橋口, 俊道
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州理学療法士・作業療法士合同学会 2010
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Summary:【目的】 造血器腫瘍患者の治療は多様で,多剤高用量の抗がん剤を使用するため有害事象が強く出ることが多く,患者の日常生活動作(以下ADL)を制限し,長期臥床および廃用症候群を引き起こす.今回,各活動範囲における造血器腫瘍患者の日常生活活動量を把握する目的で活動強度に着目し測定した. 【方法】 対象は,治療により活動範囲制限のある造血器腫瘍患者8名(男性4名,女性4名,57.6±12.9歳,ベッド上1名,病室内2名,病棟内2名,院内5名)で,活動強度測定には加速度計付歩数計(以下,加速度計)を用い,入院中の活動強度(MET)を測定した.加速度計には生活習慣記録機(Lifecorder GS,株式会社スズケン,以下1軸加速度計),身体活動量計(アクティマーカー,パナソニック電工株式会社,以下3軸加速度計)の2種類を用い,それぞれを1日中腰部に装着して各活動制限状態における活動強度を比較した.〈BR〉なお,本研究はヘルシンキ宣言の主旨に沿うこととし,内容,方法を口頭と書面で説明し,同意を得た後に行った. 【結果】 活動制限によって活動強度に差が見られ,最高活動強度の平均は,1軸加速度計ではベッド上2.3METs,病室内2.6METs,病棟内2.9METs,院内3.9METs,3軸加速度計ではベッド上3.0METs,病室内3.3METs,病棟内3.8METs,院内4.0METsであった. 【考察とまとめ】 1軸および3軸加速度計を用いて入院中の造血器腫瘍患者の身体活動強度を比較した.1軸加速度計では3軸加速度よりも活動強度が低値になる傾向があった.非運動性身体活動(Non-Exercise Activity Thermogenesis,以下NEAT)は,安静臥床以上で3.0METs以下の微小な活動である.活動範囲制限がある場合では,特にその積み重ねは身体活動量の向上につながり,3軸加速度計は,この検出が多い傾向にあった.本研究により,治療による活動範囲制限や入院生活自体が活動強度を制限する因子となりうることが示唆された.2010年度より始まったがんのリハビリテーションでは,リハビリテーションは入院中しか認められておらず,退院までに通常の日常生活の活動強度も考慮し、活動制限の範囲に応じたリハビリテーションの提供を考える必要性がある.
Bibliography:389
ISSN:0915-2032
2423-8899
DOI:10.11496/kyushuptot.2010.0.322.0