尿路感染症分離菌に対する経口ならびに注射用抗菌薬の抗菌力比較 (第25報2003年) その3.感受性の推移
2003年8月から2004年7月までの間に全国14施設において, 尿路感染症と診断された患者565症例から分離された菌株 (Staphylococcus aureus, Enterococcus faecalis, Escherichia coli, Klebsiella spp., Pseudomonas aeruginosa) を供試し, 各種抗菌薬に対する感受性を測定した。菌株を単純性尿路感染症由来と複雑性尿路感染症由来 (カテーテル非留置とカテーテル留置を含む) の2群に分類し, 1994-2002年の感受性と比較した。 S.aureusの薬剤感受性は, 2002年度までの成績と同等で...
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Published in | The Japanese Journal of Antibiotics Vol. 58; no. 6; pp. 557 - 654 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
25.12.2005
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ISSN | 0368-2781 2186-5477 |
DOI | 10.11553/antibiotics1968b.58.557 |
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Summary: | 2003年8月から2004年7月までの間に全国14施設において, 尿路感染症と診断された患者565症例から分離された菌株 (Staphylococcus aureus, Enterococcus faecalis, Escherichia coli, Klebsiella spp., Pseudomonas aeruginosa) を供試し, 各種抗菌薬に対する感受性を測定した。菌株を単純性尿路感染症由来と複雑性尿路感染症由来 (カテーテル非留置とカテーテル留置を含む) の2群に分類し, 1994-2002年の感受性と比較した。 S.aureusの薬剤感受性は, 2002年度までの成績と同等でVancomycin (VCM) が最も強い感受性を示した。E.faecalisの薬剤感受性も2002年度までの成績とほぼ同等であった。E.coliの薬剤感受性は, ペニシリン系薬剤を除き, 全般的に良好で, 2002年度までの成績とほぼ同等であった。セフェム系薬剤で最も良好な感受性を示したのはCefozopran (CZOP) およびCefpirome (CPR) で, そのMIC90はいずれも≤0.125μg/mLであった。Cefotiam (CTM) に対する感受性は10年間安定しており, MIC90は0.5μg/mL以下と良好であった。カルバペネム系薬剤およびCarumonam (CRMN) に対する感受性もCZOP同様に良好であつたが, キノロン系薬剤に対する複雑性尿路感染症群の感受性は, 2000年度以降低下しており, 耐性株の出現が示唆された。Klebsiella spp.は, いくつかのセフェム系薬剤に対して感受性の低下を示した。感受性の低下が大きかった薬剤は, Cefazolin (CEZ), CTM, Cefhclor (CCL), Cefpodoxime (CPDX) であった。カルバペネム系薬剤のImipenem (IPM) も感受性の低下を示した。その他の薬剤に対する感受性は, 2002年度までの成績とほぼ同等であり, なかでもCZOPの薬剤感受性は, Meropenem (MEPM) 同様に最も良好で, そのMIC90は単純性尿路感染症 (I群) で≤0.125μg/mL, 複雑性尿路感染症 (カテーテル非留置とカテーテル留置を含む・II群) で0.25μg/mLであった。P.aemginosaの薬剤感受性は全般的に低く, その薬剤感受性は, 2002年度までの成績と大きく異なるものではなかった。 |
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ISSN: | 0368-2781 2186-5477 |
DOI: | 10.11553/antibiotics1968b.58.557 |