近年の養成校における学生の進級に伴う心理変化について 1年次と4年次進級後のアンケート調査
【目的】 近年、理学療法士養成校の増加にともない、多くの多様な心理状況にある学生が入学して将来の理学療法士になり社会貢献を目指している。この多くの学生の中で進級をする学生は4年間の学校教育の中で心理面にどのような影響を及ぼすのか、1年次と4年次へ進級進級後の縦断による達成動機づけテストを用いたアンケート調査を実施して、その結果を検討した。 【方法】 被検者はヘルシンキ宣言に基づき研究の了承を得た理学療法学科4年18名を対象に下山剛達成動機づけテスト(下山、1974)によるアンケート調査を入学後1ヶ月と4年次進級後の2回実施した。「勉強や仕事がうまくいかなかったとき、もう一度やりなおしてみたいと...
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Published in | 九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 p. 261 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
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九州理学療法士・作業療法士合同学会
2010
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Summary: | 【目的】 近年、理学療法士養成校の増加にともない、多くの多様な心理状況にある学生が入学して将来の理学療法士になり社会貢献を目指している。この多くの学生の中で進級をする学生は4年間の学校教育の中で心理面にどのような影響を及ぼすのか、1年次と4年次へ進級進級後の縦断による達成動機づけテストを用いたアンケート調査を実施して、その結果を検討した。 【方法】 被検者はヘルシンキ宣言に基づき研究の了承を得た理学療法学科4年18名を対象に下山剛達成動機づけテスト(下山、1974)によるアンケート調査を入学後1ヶ月と4年次進級後の2回実施した。「勉強や仕事がうまくいかなかったとき、もう一度やりなおしてみたいと思う」等の質問を含む18項目を「はい」「いいえ」にて回答を得た。 【結果】 18名中18名(100%)の有効な回答であった。20%以上の「はい」有効数の変化を示した質問は以下の通りであった。「勉強や仕事をしているときに、うまくいきそうもないと感じると、やる気がすぐになくなってしまう」22%の低下。「大事なテストや仕事のある前の日は、そのことが気になって落ち着かない」22%の低下。テストや仕事の結果がよかったときに嬉しいのは、自分の力がついたと思うからよりも、親や先生や友人に認めてもらえると思うからだ」28%の低下。「大事なテストや仕事のときほど、へまをやってしまうのではないかと心配になる」33%の低下。「テストや仕事の結果がわかったとき、他人の結果がどうであったかが気になる」22%の低下。「テストや仕事の途中で、うまくいかないものにぶつかると、もうだめだと思ってしまうことが多い」22%の低下であった。また、4年次に80%以上の偏りがあった質問は以下の通りであった。「はい」として「勉強や仕事がうまくいかなかったとき、もう一度やりなおしてみたいと思う」。「いいえ」として「勉強やテストのときに、一つの問題がわからないと、あとの優しい問題もわからなくなってしまう」、「つとや仕事の途中で、うまくいかないものにぶつかると、もうだめだと思ってしまうことが多い」、「テストを受ける前や仕事を始める前に、きっとうまくいかないだろうという感じがする」 【考察】 今回の結果により、理学療法士になるためにどのような心理面の変化が在学中に起こっているかが推測される。入学したばかりで理学療法士になるという動機がまだ明確に確立されていない時期に比較して、評価実習も終了して国家試験対策対象学年においては、比較的、自己分析をしっかりと行い、それに対する心構えは、前向きな意欲が必要だと考えられる。そのため、教育機関はすべてを新入生に求めるのではなく、4年間の教育課程にて、長い目でゆっくりと教え育むことが本来の「教育」といえるのではないだろうか。 【まとめ】 今回1年次と4年次進級後の比較を実施した。勉強に対する肯定的な変化が得られた。1年次に未熟であっても進級するにつれ前向きな意欲へ変貌する可能性が示唆された。 |
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Bibliography: | 333 |
ISSN: | 0915-2032 2423-8899 |
DOI: | 10.11496/kyushuptot.2010.0.261.0 |