正常者の心磁図マップ―心磁図における各波の波形と心起電力の推定

二次微分傾斜計型の超伝導量子干渉計 (SQUID) を用いて, 健常者の心磁図マップを作製し, 心磁図における各波の波形を検討し, さらに, 心磁図マップより心起電力推定の可能性を検討し若干の考察を加えた。心磁図におけるQRS波は, 前胸部のほぼ中央部でR型, 左方でqR型もしくはrS型, 左上方でrSr'型, 左下方でQS型を示した。その大きさは前胸部の中央部で最大で, 遠ざかるにつれて小さくなった。P波は, 上方で下向き, 下方で上向きであった。T波は, 前胸部右方から下方において上向き, 左方で下向きであった。また, 健常者の左上方にST低下を示す例があった。QRS波の極性の分...

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Published in心電図 Vol. 3; no. 2; pp. 215 - 222
Main Authors 粟野, 直行, 大和田, 憲司, 待井, 一男, 刈米, 重夫, 高木, 雄行, 粟野, 亥佐武
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 31.03.1983
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Summary:二次微分傾斜計型の超伝導量子干渉計 (SQUID) を用いて, 健常者の心磁図マップを作製し, 心磁図における各波の波形を検討し, さらに, 心磁図マップより心起電力推定の可能性を検討し若干の考察を加えた。心磁図におけるQRS波は, 前胸部のほぼ中央部でR型, 左方でqR型もしくはrS型, 左上方でrSr'型, 左下方でQS型を示した。その大きさは前胸部の中央部で最大で, 遠ざかるにつれて小さくなった。P波は, 上方で下向き, 下方で上向きであった。T波は, 前胸部右方から下方において上向き, 左方で下向きであった。また, 健常者の左上方にST低下を示す例があった。QRS波の極性の分布については, 陽性領域は経時的に前胸部の右上方より中央部下方に移行した。これら経時的な磁界分布の変化は心臓の興奮伝播によるものと考えられ, 心磁図測定により, 逆に, 心起電力が推定できるものと考えられた。
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.3.215