施設間連携システム強化方法の一考察 法人内施設間リハビリテーション報告書の現状から
【はじめに】 近年、わが国の保健・医療・福祉の改革は目覚しい。2003年から福祉領域における措置制度から支援制度など、患者を主体としたサービスが求められている。そこで、患者を主体に継ぎ目のない保健・医療・福祉における支援、すなわちシームレスサポートの重要性が唱えられている。当法人は、回復期から終末期まで一貫したリハビリテーションの連携システム・施設を有する。その中で情報交換の一手段として、独自に作成した施設間報告書(以下、報告書)を使用しているが、転帰先に属するスタッフと報告主との内容的なニーズは必ずしも一致せず、後に口頭での伝達など二重三重の手間がかかるのが現状である。今回、報告主・転帰先...
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Published in | 九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 p. 116 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
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九州理学療法士・作業療法士合同学会
2006
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Summary: | 【はじめに】 近年、わが国の保健・医療・福祉の改革は目覚しい。2003年から福祉領域における措置制度から支援制度など、患者を主体としたサービスが求められている。そこで、患者を主体に継ぎ目のない保健・医療・福祉における支援、すなわちシームレスサポートの重要性が唱えられている。当法人は、回復期から終末期まで一貫したリハビリテーションの連携システム・施設を有する。その中で情報交換の一手段として、独自に作成した施設間報告書(以下、報告書)を使用しているが、転帰先に属するスタッフと報告主との内容的なニーズは必ずしも一致せず、後に口頭での伝達など二重三重の手間がかかるのが現状である。今回、報告主・転帰先に対し報告書に対する1)活用度・満足度、2)重要と考える患者の情報、以上2点をアンケート調査し現状について考察する。 【対象と方法】 対象は当法人医療機関のうち、報告書を作成する病院セラピスト(以下、報告主)と、利用しているクリニック、生活入所施設、通所・訪問サービスに関わるスタッフ(以下、受け手)に対し、リハビリテーション総合実施計画書の大項目、ICF大・中項目に基づき独自に作成したアンケートにて、1)報告書の活用度・満足度2)重要と考える情報を調査した。分析方法は1標本符号検定、Mann-Whitney検定で比較検定した。 【結果】 報告書の活用頻度はセラピスト、ケアマネージャーは「必ず見る」が100%であり、その他の職種は「必ず~困った時見る」を合わせて67%であった。重要と考える情報は「しているADL」「できるADL」に有意差を認めた(p<0.01)。報告主と受け手では、内容や満足度に有意差を認めた(p<0.05)。 【考察】 報告主と受け手の考える重要な患者情報の違い、当該機関の差異から、属するスタッフの到達目標が異なり、結果として、報告事項にギャップが生じていると考えられる。それは、その施設機関が持つ社会的特性と、所属するスタッフの有する技能、また時間的・場所的な制約による提供サービスの限界に起因するものと考える。しかし、患者の治療活動の目標達成には、治療を適切、且つ効果的に行うための時期的な役割分担は不可欠である。患者の治療活動の目標は、病院内完結型でも、地域完結型でも良く、重要なことは患者の転帰先をよりよくすることである。今回、報告書は各施設・職種間の連絡ツールとして積極的な利用が可能であること、しかし、求める内容は各時期・施設・患者で異なることが示唆された。また、転帰後の情報交換に対して関心の高さが伺えた。結果をふまえ、当法人内で施設・専門職種による到達目標のギャップを埋めるような報告書の内容の検討、試案、また効果的に活用するシステムを構築していくことで、施設間の連携を強化し、患者へ最善の支援が提供できるのではないかと考える。 |
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ISSN: | 0915-2032 2423-8899 |
DOI: | 10.11496/kyushuptot.2006.0.116.0 |