角膜内皮機能不全の治療

角膜内皮細胞はNa-K ATPaseによるポンプ機能と細胞間接着分子によるバリア機能により角膜の透過性の維持に寄与している. 角膜内皮機能不全は角膜に浮腫性の混濁をもたらし, 視力低下をきたす(水庖性角膜症). 角膜内皮機能不全の治療は従来から全層角膜移植手術が行われていたが, 近年の手術技術の発達にともない, DSEKを主とする角膜内皮移植が開発されてきている. DSEKは全層角膜移植に比較し術後の乱視が少なく, より低侵襲であることなどでメリットが大きい. 現在のところ, 角膜内皮機能不全に対する薬物治療は確立されてないが, 最近の基礎研究から, 角膜内皮細胞のNa-K ATPaseはデキ...

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Published in医療 Vol. 62; no. 8; pp. 451 - 457
Main Authors 羽藤, 晋, 山田, 昌和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 20.08.2008
国立医療学会
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Summary:角膜内皮細胞はNa-K ATPaseによるポンプ機能と細胞間接着分子によるバリア機能により角膜の透過性の維持に寄与している. 角膜内皮機能不全は角膜に浮腫性の混濁をもたらし, 視力低下をきたす(水庖性角膜症). 角膜内皮機能不全の治療は従来から全層角膜移植手術が行われていたが, 近年の手術技術の発達にともない, DSEKを主とする角膜内皮移植が開発されてきている. DSEKは全層角膜移植に比較し術後の乱視が少なく, より低侵襲であることなどでメリットが大きい. 現在のところ, 角膜内皮機能不全に対する薬物治療は確立されてないが, 最近の基礎研究から, 角膜内皮細胞のNa-K ATPaseはデキサメサゾンやインスリンにより活性が上昇することがわかってきている. こうした角膜内皮の活性化機構. が解明されれば, 角膜内皮機能不全を角膜移植によらずに治療できる新しい治療法となる可能性がある.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.62.451