酢酸フレカイニドの体内動態(2):イヌにおける単回静脈内投与時の血中濃度,分布,代謝および排泄
14C-酢酸フレカイニドを雄性イヌに2mg/kgの用量で静脈内投与し,血中濃度,分布,代謝および排泄について検討した. 1.血漿中放射能濃度は投与後30分で最高値(1.052μgeq./ml)を示したのち,8時間まで半減期1.9hrで消失した.投与後24時間までのAUCは4.82μgeq.·hr·ml-1であり,投与後48時間では検出限界以下となった.血液中放射能濃度は血漿中濃度の68~84%を示し推移した. 2.尿および糞中への排泄は投与後168時間までにそれぞれ投与量の56.2%および42.1%が排泄され,尿糞中総排泄率は98.3%であった。 3.組織内放射能濃度は,眼球の色素組織以外の組...
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Published in | 薬物動態 Vol. 14; no. 3; pp. 214 - 224 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
日本薬物動態学会
30.06.1999
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ISSN | 0916-1139 |
DOI | 10.2133/dmpk.14.214 |
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Summary: | 14C-酢酸フレカイニドを雄性イヌに2mg/kgの用量で静脈内投与し,血中濃度,分布,代謝および排泄について検討した. 1.血漿中放射能濃度は投与後30分で最高値(1.052μgeq./ml)を示したのち,8時間まで半減期1.9hrで消失した.投与後24時間までのAUCは4.82μgeq.·hr·ml-1であり,投与後48時間では検出限界以下となった.血液中放射能濃度は血漿中濃度の68~84%を示し推移した. 2.尿および糞中への排泄は投与後168時間までにそれぞれ投与量の56.2%および42.1%が排泄され,尿糞中総排泄率は98.3%であった。 3.組織内放射能濃度は,眼球の色素組織以外の組織はではいずれも最初の測定時間である投与後30分に最高濃度を示した.放射能濃度は腎臓,胆嚢,膵臓,肝臓,胃および肺に高濃度に分布した,これらの組織では投与後168時間までにいずれも最高濃度の5%以下に減少した.眼球色素組織である脈絡膜,毛様体および虹彩では高濃度で分布し,かつ他の組織と比べて消失も緩やかであった. 4.14C-酢酸フレカイニドの血漿蛋白結合率(in vitro)はラットでは約55%,イヌでは約70%であった.イヌに静注した際の投与後30分から4時間における放射能の血漿蛋白結合率(in vivo)は30.7~47.7%であった. 5.血漿中の未変化体濃度は最初の測定時間である投与後5分に0.733μg/ml(血漿中放射能量の86.6%)を示したのち,速やかに消失した.血漿中では代謝物として脱アルキル体および脱アルキルーラクタム体および極性代謝物が認められた.極性代謝物の放射能に占める割合は経時的に増加した. 6.投与後30分における心臓中には未変化体が1.953μg/g(心臓中放射能量の83.7%)認められたほか,既知代謝物を含む数種類の代謝物が認められた.肝臓中では未変化体が0.824μg/g(肝臓中放射能量の10.2%),脱アルキル体が0.985μgeq./g(12.3%)認められたほか,数種類の代謝物が認められた.腎臓中では未変化体が4.407μg/g(腎臓中放射能量の49.0%)認められたほか,既知代謝物を含む数種類の代謝物が認められた. 7.投与後0~24時間に排泄された尿中には未変化体が尿中放射能量の6.5%認められた.また,脱アルキル体および脱アルキルーラクタム体が8.8%および0.8%認められたほか,数種類の代謝物が認められた.酵素加水分解後では未変化体の割合に変化は認められず,脱アルキル体,脱アルキルーラクタム体および未知代謝物が増加した.糞中には未変化体が糞中放射能量の0.3%認められた.また,脱アルキル体および脱アルキルーラクタム体が7.1%および6.2%認められたほか,数種類の代謝物が認められた. |
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ISSN: | 0916-1139 |
DOI: | 10.2133/dmpk.14.214 |