新規抗悪性腫瘍薬S-1の各配合成分の体内動態(第1報):ラットにおけるS-1単回投与時の各配合成分の吸収および排泄

ラットに[14C-FT]-S-1,[14C-CDHP]-S-1あるいは[14C-Oxo]-S-1を投与しその吸収および排泄について検討し,以下の結果を得た. 1.[14GFT]-S-1を投与した絶食雄性ラットでは,血液中放射能濃度は投与後1時間にCmax 6215 ng eq./mlを示したのち2相性を示して消失する傾向を示した.主排泄経路は尿中であり,投与後72時間までの尿中,糞中およびに呼気中にそれぞれ投与量の74.7%,1.6%および15.5%排泄された.また,投与後48時間までの胆汁中には投与量の4.3%が排泄された. 2.[14C-FT]-S-1を投与した絶食雌性ラットでは雄性ラット...

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Published in薬物動態 Vol. 12; no. 4; pp. 289 - 300
Main Authors 増田, 啓年, 永山, 績夫, 池田, 和正, 堀, 勝行, 益子, 俊之, 江角, 凱夫, 東岡, 喜作子, 川口, 安郎
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本薬物動態学会 30.08.1997
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ISSN0916-1139
DOI10.2133/dmpk.12.289

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Summary:ラットに[14C-FT]-S-1,[14C-CDHP]-S-1あるいは[14C-Oxo]-S-1を投与しその吸収および排泄について検討し,以下の結果を得た. 1.[14GFT]-S-1を投与した絶食雄性ラットでは,血液中放射能濃度は投与後1時間にCmax 6215 ng eq./mlを示したのち2相性を示して消失する傾向を示した.主排泄経路は尿中であり,投与後72時間までの尿中,糞中およびに呼気中にそれぞれ投与量の74.7%,1.6%および15.5%排泄された.また,投与後48時間までの胆汁中には投与量の4.3%が排泄された. 2.[14C-FT]-S-1を投与した絶食雌性ラットでは雄性ラットと比較して血液中放射能濃度および排泄率に大きな相違は認められなかった. 3.[14C-FT]-S-1を投与した非絶食雄性ラットでは吸収および排泄に食餌による大きな影響はなかった. 4.[14C-FT]-S-1注入後30分における消化管ループからの吸収率は十二指腸で96.0%,空腸で96.2%,回腸で91.4%,結腸で67.8%であった. 5.[14C-CDHP]-S-1を投与した絶食雄性ラットでは,血液中放射能濃度は投与後1時間にCmax 569 ng eq./mlを示したのち1相性を示して消失した.主排泄経路は尿中であり,投与後72時間までの尿中および糞中にそれぞれ投与量の74.8%および22.5%が排泄された.また,投与後48時間までの胆汁中には投与量の1.3%が排泄された. 6.[14C-CDHP]-S-1を投与した絶食雌性ラットでは雄性ラットと比較してCmaxは1.3倍,AUCは1.4倍であったが尿中への排泄率は9.8%少なかった. 7.[14C-CDHP]-S-1を投与した非絶食雄性ラットでは食餌により吸収率は低下した. 8.[14C-CDHP]-S-1注入後30分における消化管ループからの吸収率は十二指腸で18.2%,空腸で20.2%,回腸で12.1%,結腸で4.0%であった. 9.[14C-Oxo]-S-1を投与した絶食雄性ラットでは血液中放射能濃度は投与後1.3時間にCmax 947 ng eq./mlを示したのち2相性を示して消失した.主排泄経路は尿中であり,投与後72時間までの尿中,糞中および呼気中にそれぞれ投与量の70.7%,27.0%および3.0%排泄された.また,投与後48時間までの胆汁中には投与量の1.0%が排泄された. 10.[14C-Oxo]-S-1を投与した絶食雌性ラットでは雄性ラットと比較してCmaxは1.3倍,AUCは1.5倍であったが尿中への排泄率は16.6%少なかった. 11.[14C-Oxo]-S-1を投与した非絶食雄性ラットでは食餌により吸収率は低下し,血液中放射能濃度推移も絶食時と大きく異なった. 12.[14C-Oxo]-S-1注入後30分における消化管ループからの吸収率は十二指腸で20.4%,空腸で37.6%,回腸で18.6%,結腸で6.8%であった.
ISSN:0916-1139
DOI:10.2133/dmpk.12.289