補聴器 補聴器の最近の進歩

「はじめに」慢性感音難聴に対してはこれまでのところさまざまな基礎研究が行われているが, 現時点で確立した有効な治療法はみつかっていない. そのため現在, 一度感音難聴が固定してしまった場合には, 高度難聴に対する人工内耳等を除くと, 補聴器は会話によるコミュニケーションを補助するほぼ唯一のデバイスである. 近年の補聴器の進歩はめざましいものがあるが, 特筆すべき技術革新は1992年のデジタル補聴器の登場であろう. コンピューター技術の進歩にともない実用化されたデジタル補聴器によって, 従来のアナログ補聴器では不可能であったマルチチャンネルノンリニア増幅, 雑音抑制と指向性機能の連携, フィード...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in医療 Vol. 62; no. 5; pp. 302 - 305
Main Author 水足, 邦雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 20.05.2008
国立医療学会
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:「はじめに」慢性感音難聴に対してはこれまでのところさまざまな基礎研究が行われているが, 現時点で確立した有効な治療法はみつかっていない. そのため現在, 一度感音難聴が固定してしまった場合には, 高度難聴に対する人工内耳等を除くと, 補聴器は会話によるコミュニケーションを補助するほぼ唯一のデバイスである. 近年の補聴器の進歩はめざましいものがあるが, 特筆すべき技術革新は1992年のデジタル補聴器の登場であろう. コンピューター技術の進歩にともない実用化されたデジタル補聴器によって, 従来のアナログ補聴器では不可能であったマルチチャンネルノンリニア増幅, 雑音抑制と指向性機能の連携, フィードバック抑制技術とその応用であるオープンフィッティング, 補聴器間・その他音響機器との通信などこれまでの補聴器の概念を覆すような機能がきわめて簡便に設定可能となった. 今回は, 最近のデジタル補聴器に付加されているこれらの技術のいくつかを紹介する.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.62.302