活性型ビタミンD3のフッ素誘導体ST-630の体内動態(第1報):ラットに3H-ST-630を単回経口投与時の吸収,分布および排泄

活性型ビタミンD3誘導体であるST-630のラットにおける体内挙動を明らかにする目的で,トリチウム標識体を用いた検討を実施し以下の知見を得た. 1.雌雄ラットに3H-ST-630を経口投与後,血清中放射能およびST-630濃度は投与2時間後に最大値に達した後,半減期(消失相)2.8day(雄)および2.0day(雌)で消失した.また血清中に主として存在するのは未変化体であった.未変化体は放射能と同様,投与後2時間に最大値に達し,この時点では放射能濃度の90%以上を占め,消失は放射能より速やかであった[半減期(消失相):1.0day(雄)および0.9day(雌)]. 2.体内分布について組織摘出...

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Published in薬物動態 Vol. 11; no. 5; pp. 505 - 517
Main Authors 二宮, 真一, 植田, 幸治, 江角, 凱夫, 吉武, 彬, 小室, 勢津子, 根本, 裕之, 金丸, 博, 石崎, 正男, 中塚, 巌, 海老根, 博樹
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本薬物動態学会 31.10.1996
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ISSN0916-1139
DOI10.2133/dmpk.11.505

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Summary:活性型ビタミンD3誘導体であるST-630のラットにおける体内挙動を明らかにする目的で,トリチウム標識体を用いた検討を実施し以下の知見を得た. 1.雌雄ラットに3H-ST-630を経口投与後,血清中放射能およびST-630濃度は投与2時間後に最大値に達した後,半減期(消失相)2.8day(雄)および2.0day(雌)で消失した.また血清中に主として存在するのは未変化体であった.未変化体は放射能と同様,投与後2時間に最大値に達し,この時点では放射能濃度の90%以上を占め,消失は放射能より速やかであった[半減期(消失相):1.0day(雄)および0.9day(雌)]. 2.体内分布について組織摘出法および全身オートラジオグラフィーで検討した結果,投与2~24時間後に小腸に著しく高く分布し,オートラジオグラムの拡大図より,その分布は小腸の粘膜部位であることが確認された.また,腎臓についても高く持続的な分布が認められた.しかしながら投与後168時間にはいずれの組織も濃度が低下しており,残留性を示す組織は認められなかった.また性差は認められなかった. 3.排泄バランスについて検討したところ,雌雄ラットとも胆汁を経由した糞中排泄が主であった.胆汁および尿中排泄率より,吸収率は19%以上と見積もられた.また胆汁中排泄の約40%は再吸収されることが明らかになった. 4.以上,3H-ST-630を経口投与後の体内動態をまとめると,雌雄ラットで大差なく,投与放射能の少なくとも約19%が吸収され,投与後2時間に血清中最大濃度を示した後消失し,血清中には主として未変化体が存在した.体内では小腸(粘膜部)および腎臓に特異的に高く分布した.排泄は主として胆汁を介した糞からであり,腸肝循環が認められた.
ISSN:0916-1139
DOI:10.2133/dmpk.11.505