当院回復期リハビリテーション病棟退院患者における在宅ADL状況【第2報】 アンケート調査を用いて
【はじめに】 当院の回復期リハビリテーション病棟が開設し3年が経過する。しかしながら当院を退院した患者が在宅復帰後どのような生活を送っているのかといった、在宅でのADL状況は把握できていないのが現状である。今回、在宅復帰患者を対象に在宅ADLの状況を調査し、退院時ADLとの比較・検討を行なったので報告する。 【方法】 当院回復期リハビリテーション病棟より在宅へ退院(2008/07/01~2010/10/30)した脳血管疾患患者39例(38名)平均年齢72.08歳に対し、アンケート調査を実施。1.Functional Independence Measure(以下FIM)、2.Barthel...
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Published in | 九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 p. 36 |
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Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
九州理学療法士・作業療法士合同学会
2011
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Summary: | 【はじめに】 当院の回復期リハビリテーション病棟が開設し3年が経過する。しかしながら当院を退院した患者が在宅復帰後どのような生活を送っているのかといった、在宅でのADL状況は把握できていないのが現状である。今回、在宅復帰患者を対象に在宅ADLの状況を調査し、退院時ADLとの比較・検討を行なったので報告する。 【方法】 当院回復期リハビリテーション病棟より在宅へ退院(2008/07/01~2010/10/30)した脳血管疾患患者39例(38名)平均年齢72.08歳に対し、アンケート調査を実施。1.Functional Independence Measure(以下FIM)、2.Barthel Index(以下BI)の2項目。また1・2に関しては退院時・退院後1か月(以下1M)・退院後2か月(以下2M)・退院後3か月(以下3M)時点で評価し、退院時と1~3M時のそれぞれの項目を比較し有意差を抽出した。 【結果】 FIMにおいては退院後1M・2M・3Mの合計点が、入院時と比較し低下していた。また各項目においては、退院-FIMと退院1M-FIMでは入浴・更衣(上衣)・更衣(下衣)・椅子移乗・トイレ移乗・社会的交流の項目で低下がみられた。退院-FIMと退院2M-FIM、退院-FIMと退院3M-FIMでも上記の退院-FIMと退院1M-FIMと同様の結果であった。BIにおいては退院後2M・3Mの合計点が、入院時と比較し有位に低下していた。また詳細項目においては退院後3Mの階段の項目で低下がみられた。 【考察】 FIMは退院1M時点でBIは2ヶ月時点で合計点に低下が認められた。FIMでは入浴、更衣(上衣)、更衣(下衣)、ベッド・椅子・車椅子移乗、トイレ移乗、社会的交流の項目で低下を認めた。更衣はFIMで低下を認めるがBIでは低下していない。これは上肢機能や手指巧緻性の低下、また介助者の時間的問題や本人の意欲の低下などが更衣動作における点数低下の原因と考えられた。また入浴、移乗も低下しているが、これもBIにて低下していない。両者にある問題点として、介助者の時間的問題や過介助、さらに環境設定の不備が点数の低下原因であると考えられた。社会的交流は自宅へ帰り外出する機会が減少したことが原因であると推察された。BIでは階段が低下しているが、これもFIMでは低下していない。これは入院中は階段昇降等の訓練を実施し獲得しているが、退院後は積極的使用する機会が減少したことが考えられ、それによる廃用性の低下であると推察された。今回の調査により在宅復帰後におけるADLでは変化項目としてFIM:入浴、更衣(上衣)、更衣(下衣)、ベッド・椅子・車椅子移乗、トイレ移乗、社会的交流BI:階段で有位に低下していたことが明らかとなった。今回の結果を今後、退院時指導や退院後のリハビリテーションに活かしていきたいと考える。 |
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Bibliography: | 036 |
ISSN: | 0915-2032 2423-8899 |
DOI: | 10.11496/kyushuptot.2011.0.36.0 |