閉塞性黄疸を伴う肝細胞癌(HCC)における胆道ドレナージ

肝細胞癌(hepatocellular carcinoma:HCC)による胆道閉塞は,進行期の症例に多く生じ,腫瘍が易出血性であることからその他の悪性胆道閉塞と比較し治療に難渋する場合がある.今回我々は,当科にて胆道閉塞を伴うHCCに対して内視鏡的胆道ドレナージを施行した12例を対象としretrospectiveにドレナージの意義を検討した.内視鏡的ドレナージ成功例は8/12例(66.7%)であり,問題となるような合併症は認めなかった.初回ドレナージ施行からの生存期間中央値は1.6カ月(1.1-14.2)であった.ドレナージ後10/12例(83.3%)で化学療法を行い,効果を認めた例では有意に...

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Published in肝臓 Vol. 53; no. 11; pp. 734 - 740
Main Authors 野村, 能元, 加賀谷, 尚史, 上田, 晃之, 砂子阪, 肇, 鷹取, 元, 荒井, 邦明, 柿木, 嘉平太, 川口, 和紀, 北村, 和哉, 山下, 太郎, 酒井, 佳夫, 山下, 竜也, 水腰, 英四郎, 酒井, 明人, 本多, 政夫, 金子, 周一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2012
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Summary:肝細胞癌(hepatocellular carcinoma:HCC)による胆道閉塞は,進行期の症例に多く生じ,腫瘍が易出血性であることからその他の悪性胆道閉塞と比較し治療に難渋する場合がある.今回我々は,当科にて胆道閉塞を伴うHCCに対して内視鏡的胆道ドレナージを施行した12例を対象としretrospectiveにドレナージの意義を検討した.内視鏡的ドレナージ成功例は8/12例(66.7%)であり,問題となるような合併症は認めなかった.初回ドレナージ施行からの生存期間中央値は1.6カ月(1.1-14.2)であった.ドレナージ後10/12例(83.3%)で化学療法を行い,効果を認めた例では有意に生存期間の延長を認めた(P<0.01).以上より,胆道閉塞を伴うHCCは生命予後不良であるが,後治療の効果を認めた症例では生存期間の延長が期待できると考えられ,ドレナージを行う意義があると考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.53.734