樺太産ツンドラ植物の化學的研究(第一報) ミヅゴケの化學的成分に就て

1. 著者等は樺太産ミヅゴケの化學組成を決定せり. 2. 分析法を簡單に記述し,其結果に就て考察を下せり. 3. 水分測定に際しミヅゴケは其色に變化を來せり. 4. 普通の監素法によりて分離したミヅゴケの繊維素は,105°Cの温度にて乾燥する際に表面が一部黒色となれり. 5. 且つ其量は變法によりて定量せる繊維素の量よりもはるかに多く,また1%苛性曹達溶渡にて抽出せる殘渣よりも多量なる事を認めたり. 6. 變法によりて分離した繊維素並にα-繊維素は乾燥に際して黒變することなかりき. 7. ミヅゴケの繊維素定量に際しては普通の監素法に依るよりも,變法を用ふる方が合理的なる事を論ぜり. 8. ミヅ...

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Published in日本農芸化学会誌 Vol. 8; no. 9; pp. 949 - 953
Main Authors 志方, 益三, 渡邊, 護
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本農芸化学会 1932
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Summary:1. 著者等は樺太産ミヅゴケの化學組成を決定せり. 2. 分析法を簡單に記述し,其結果に就て考察を下せり. 3. 水分測定に際しミヅゴケは其色に變化を來せり. 4. 普通の監素法によりて分離したミヅゴケの繊維素は,105°Cの温度にて乾燥する際に表面が一部黒色となれり. 5. 且つ其量は變法によりて定量せる繊維素の量よりもはるかに多く,また1%苛性曹達溶渡にて抽出せる殘渣よりも多量なる事を認めたり. 6. 變法によりて分離した繊維素並にα-繊維素は乾燥に際して黒變することなかりき. 7. ミヅゴケの繊維素定量に際しては普通の監素法に依るよりも,變法を用ふる方が合理的なる事を論ぜり. 8. ミヅゴケの繊維素と木材の繊維素とによりて示された或性質の差異を指摘せり. 9. 變法によりて繊維素を定量する時はその含量甚だ少く(約26%),α-繊維素に至りては極めて僅少にして原試料に對し11%に過ぎざる事を認めたり. 10. ミヅゴケのリグニンは木材のそれに比し,含量少く且つ外觀は酷似すれ共,苛性曹達溶液に封する溶解度を著しく異にすることを認めたり.
ISSN:0002-1407
1883-6844
DOI:10.1271/nogeikagaku1924.8.9_949