マウスを模擬した小型ファントム内 90Yβ線の内部線量分布

米国核医学会で提唱されている内部被ばく線量計算方法(MIRD)においては,β線のエネルギーは,線源臓器内で完全に吸収されると仮定されている。しかし,RI内用療法の基礎実験で用いられるマウスの臓器は,90Yからの高エネルギーベータ粒子の飛程と比べ,相対的に小さい。したがって,高いエネルギーのベータ粒子は,線源臓器を透過し,結果として,周囲の臓器の線量が増大することが知られている。マウスに投与されたβ線放出核種からの内部被ばく線量を正確に推定するには,CT画像を基にしたボクセルファントムのような,よりリアリスティックな幾何学的モデルが必要とされ,そこで,モンテカルロ計算コード(EGS5)を用いて,...

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Published inRADIOISOTOPES Vol. 57; no. 6; pp. 385 - 391
Main Authors 佐藤, 裕一, 山林, 尚道, 中村, 尚司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本アイソトープ協会 2008
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ISSN0033-8303
1884-4111
DOI10.3769/radioisotopes.57.385

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Summary:米国核医学会で提唱されている内部被ばく線量計算方法(MIRD)においては,β線のエネルギーは,線源臓器内で完全に吸収されると仮定されている。しかし,RI内用療法の基礎実験で用いられるマウスの臓器は,90Yからの高エネルギーベータ粒子の飛程と比べ,相対的に小さい。したがって,高いエネルギーのベータ粒子は,線源臓器を透過し,結果として,周囲の臓器の線量が増大することが知られている。マウスに投与されたβ線放出核種からの内部被ばく線量を正確に推定するには,CT画像を基にしたボクセルファントムのような,よりリアリスティックな幾何学的モデルが必要とされ,そこで,モンテカルロ計算コード(EGS5)を用いて,精密にベータ粒子の輸送をシミュレーションすることが重要になってきている。本研究の目的は,モンテカルロ計算コードによりマウス内のベータ粒子の輸送をシミュレーションするために作成したユーザーコードの妥当性を評価することにある。このため,マウスを模擬した小型タフウォーターファントム内に小型ガラス線量計と90YCl3溶液を封入したカプセルを埋め込み,その小型ガラス線量計で測定された吸収線量分布をこのユーザーコードを用いた計算結果と比較することによって確認した。このユーザーコードで計算された小型ファントム内吸収線量の分布は,測定された結果と比較し,かなり良い一致をしていることがわかった。
ISSN:0033-8303
1884-4111
DOI:10.3769/radioisotopes.57.385