大腸癌における術中腹腔内洗浄細胞診の臨床病理学的検討
目的:当院における大腸癌根治手術症例での術中腹腔内洗浄細胞診の結果を解析し,腹膜播種再発や予後との関連性について検討する.対象と方法:2000年1月から2018年12月までに当院において大腸癌手術で洗浄細胞診を施行した1,178例のうち,根治手術を施行した963例を対象とし,臨床病理学的背景因子や細胞診陽性と腹膜播種再発,予後との関連について解析した.結果:根治手術症例における細胞診陽性率は1.7%であった.細胞診陽性は壁深達度T3以深の症例でのみ認めた.腹膜播種再発は細胞診陽性例で有意に多く(細胞診陰性:0.8%,細胞診陽性:43.7%;p<0.0001),5年生存率についても細胞診陽性例で...
Saved in:
Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 78; no. 8; pp. 309 - 314 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本大腸肛門病学会
2025
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0047-1801 1882-9619 |
DOI | 10.3862/jcoloproctology.78.309 |
Cover
Summary: | 目的:当院における大腸癌根治手術症例での術中腹腔内洗浄細胞診の結果を解析し,腹膜播種再発や予後との関連性について検討する.対象と方法:2000年1月から2018年12月までに当院において大腸癌手術で洗浄細胞診を施行した1,178例のうち,根治手術を施行した963例を対象とし,臨床病理学的背景因子や細胞診陽性と腹膜播種再発,予後との関連について解析した.結果:根治手術症例における細胞診陽性率は1.7%であった.細胞診陽性は壁深達度T3以深の症例でのみ認めた.腹膜播種再発は細胞診陽性例で有意に多く(細胞診陰性:0.8%,細胞診陽性:43.7%;p<0.0001),5年生存率についても細胞診陽性例で有意に予後不良であった(細胞診陰性:73.6%,細胞診陽性:40.8%;p<0.0001).全生存率に対する多変量解析により,細胞診陽性は独立した予後予測因子であった.結語:洗浄細胞診は腹膜播種や予後予測因子として有用である可能性がある. |
---|---|
ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
DOI: | 10.3862/jcoloproctology.78.309 |