単孔式腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(Trans abdominal pre-peritoneal mesh repair)の治療成績

はじめに : 鼠径ヘルニアに対する単孔式腹腔鏡手術によるtrans-abdominal pre-peritoneal mesh repair(TAPP)について導入初期の治療成績を報告した.方法 : 対象は単孔式TAPPを行った9例(13側)で,3ポートTAPPを行った247例(354側)を対照として治療成績を比較検討した.結果 : 単孔式TAPP群ではポートの追加を要した症例はなく,術後臍部創は目立たなかった.手術時間は単孔式TAPP群172.9±66.6分と比較して3ポートTAPP群98.8±39.2分と単孔式TAPP群が有意に長かったが,出血は両群ともカウント外の少量で同等であった.単孔...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 44; no. 7; pp. 913 - 920
Main Authors 宮川, 雄輔, 三田, 篤義, 大野, 康成, 荒井, 義和, 唐澤, 幸彦, 森川, 明男, 織井, 崇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.07.2011
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Summary:はじめに : 鼠径ヘルニアに対する単孔式腹腔鏡手術によるtrans-abdominal pre-peritoneal mesh repair(TAPP)について導入初期の治療成績を報告した.方法 : 対象は単孔式TAPPを行った9例(13側)で,3ポートTAPPを行った247例(354側)を対照として治療成績を比較検討した.結果 : 単孔式TAPP群ではポートの追加を要した症例はなく,術後臍部創は目立たなかった.手術時間は単孔式TAPP群172.9±66.6分と比較して3ポートTAPP群98.8±39.2分と単孔式TAPP群が有意に長かったが,出血は両群ともカウント外の少量で同等であった.単孔式TAPP群では1例に漿液腫を認めた以外に特記すべき術中,術後合併症は認めなかった(合併症発生率11.1%).これに対して3ポートTAPP群での術後合併症発生率は17.8%で両群間に有意差はなかった.単孔式TAPP群は全例,クリニカルパスに準じて5病日以内に退院し,再発は認めなかった.考察 : 単孔式TAPPは整容性の面で優れ,安全に施行することが可能であった.鼠径ヘルニア手術における有力な選択肢となりうると考えられる.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.44.913