後天性免疫不全症候群に見られたニューモシスチス・カリニ肺炎と思われる一例

カリニ肺炎と思われる一例を経験したので報告する.症例は33歳女性, タイ国籍のバーホステスであり, 発熱, 咳嗽, 呼吸困難を訴え入院した.入院時胸部X線で両肺野にび漫性の細粒状陰影と一部小斑状影を認め, 動脈血酸素分圧 36.3mmHg と著明な低酸素血症を呈した. HIV 抗体はEIA法, ウェスタン・プロット法共明らかに陽性で HIV-1 の感染を考えられたまた淋巴球CD4陽性細胞は 69mm3, CD/CD8 比は0.1と共に著明に減少し, 一方マイコプラズマ, サイトメガロウィルス抗体価はいずれも陰性であった.これらの所見からAIDSに伴ったカリニ肺炎を疑い, ST合剤のバクタ (R...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 50; no. 2; pp. 151 - 156
Main Authors 佐藤, 哲郎, 櫻井, 章吾, 渡邊, 康一, 山田, 正信, 大沢, 雄二郎, 小沢, 厚志, 荻原, 裕之, 小林, 節雄
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 北関東医学会 01.03.2000
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ISSN1343-2826
1881-1191
DOI10.2974/kmj.50.151

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Summary:カリニ肺炎と思われる一例を経験したので報告する.症例は33歳女性, タイ国籍のバーホステスであり, 発熱, 咳嗽, 呼吸困難を訴え入院した.入院時胸部X線で両肺野にび漫性の細粒状陰影と一部小斑状影を認め, 動脈血酸素分圧 36.3mmHg と著明な低酸素血症を呈した. HIV 抗体はEIA法, ウェスタン・プロット法共明らかに陽性で HIV-1 の感染を考えられたまた淋巴球CD4陽性細胞は 69mm3, CD/CD8 比は0.1と共に著明に減少し, 一方マイコプラズマ, サイトメガロウィルス抗体価はいずれも陰性であった.これらの所見からAIDSに伴ったカリニ肺炎を疑い, ST合剤のバクタ (R) を投与し, その補助療法としてプレドニン (R) を併用した.これらの薬剤によって自覚的並びに他覚的所見は改善し, 第32病日に退院した.
ISSN:1343-2826
1881-1191
DOI:10.2974/kmj.50.151