慢性期炎症滲出液中に存在するヒスタミン産生増大因子-IIの解析
肥満細胞や好塩基球の顆粒中に貯蔵されているヒスタミンは, 細胞膜上のIgE抗体に抗原が結合したときに生じる脱顆粒反応により細胞外に放出される. 肥満細胞や好塩基球の抗原によるヒスタミン放出反応はIL-3やGM-CSFにより増強される1)ことや, 単核球や好中球などがヒスタミン放出因子2, 3)やヒスタミン放出抑制因子4)を産生することが報告され, ヒスタミン放出反応におけるサイトカインの関与が注目されてきた. 一方, 筆者らはラットの空気嚢型アレルギー性炎症モデルにおいて炎症滲出液中のヒスタミン量が2相性に増加することを見出し5), そのヒスタミン放出機序について解析したところ, 第2相のヒス...
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Published in | 炎症 Vol. 13; no. 1; pp. 41 - 46 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本炎症・再生医学会
25.01.1993
日本炎症学会 |
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Summary: | 肥満細胞や好塩基球の顆粒中に貯蔵されているヒスタミンは, 細胞膜上のIgE抗体に抗原が結合したときに生じる脱顆粒反応により細胞外に放出される. 肥満細胞や好塩基球の抗原によるヒスタミン放出反応はIL-3やGM-CSFにより増強される1)ことや, 単核球や好中球などがヒスタミン放出因子2, 3)やヒスタミン放出抑制因子4)を産生することが報告され, ヒスタミン放出反応におけるサイトカインの関与が注目されてきた. 一方, 筆者らはラットの空気嚢型アレルギー性炎症モデルにおいて炎症滲出液中のヒスタミン量が2相性に増加することを見出し5), そのヒスタミン放出機序について解析したところ, 第2相のヒスタミン放出反応は脱顆粒反応によるものではなく, ヒスタミン産生が亢進した結果であることを明らかにした5). すなわち, 第1相(anaphylaxis phase)のヒスタミン放出反応はアレルギー性炎症誘発後30分以内に生じ, 肥満細胞の脱顆粒反応に基づくものである6)のに対し, 第2相(post-anaphylaxis phase)のヒスタミン放出反応はアレルギー性炎症を誘発して8時間後ころから持続的に増加しはじめ24時間後に最大に達するもので, その経時変化は炎症組織中のヒスチジン脱炭酸酵素(HDC)活性の経時変化とよく一致する5). |
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ISSN: | 0389-4290 1884-4006 |
DOI: | 10.2492/jsir1981.13.41 |