消費者の制御感 4つの研究潮流

制御感とは,個人が望ましい結果を得る能力や望ましくない結果を避ける能力を持っていると自覚している心理的状態を指す。この概念は社会学者によって研究されてきたが,近年,消費者の制御感の影響に着目した研究が注目を集めている。しかし,当該領域全体を俯瞰するレビュー論文は未だ存在しない。そこで,本稿では,消費者制御感に関する既存研究を(1)制御感と補償的行動,(2)制御感と感情対処,(3)制御感と慈善行動,(4)消費者の制御欲という4つの研究潮流に分けて,概観する。そして,今後の研究課題として,(a)制御感の先行要因の探求,(b)制御感の低下による補償的行動の背後にある心理メカニズムの探求,(c)制御欲...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inマーケティングジャーナル Vol. 43; no. 2; pp. 63 - 69
Main Author 王, 珏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本マーケティング学会 29.09.2023
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:制御感とは,個人が望ましい結果を得る能力や望ましくない結果を避ける能力を持っていると自覚している心理的状態を指す。この概念は社会学者によって研究されてきたが,近年,消費者の制御感の影響に着目した研究が注目を集めている。しかし,当該領域全体を俯瞰するレビュー論文は未だ存在しない。そこで,本稿では,消費者制御感に関する既存研究を(1)制御感と補償的行動,(2)制御感と感情対処,(3)制御感と慈善行動,(4)消費者の制御欲という4つの研究潮流に分けて,概観する。そして,今後の研究課題として,(a)制御感の先行要因の探求,(b)制御感の低下による補償的行動の背後にある心理メカニズムの探求,(c)制御欲の調整効果の探究の3つの課題を提示する。
ISSN:0389-7265
2188-1669
DOI:10.7222/marketing.2023.051