(±)-2-[[2-(isobutylmethylamino)benzyl]sulfinyl]-1H-benzimidazole(NC-1300-O-3)の体内動態(第1報): ラットおよびイヌにおける単回投与時の体内動態

14Cで標識した2種類の14C-NC-1300-O-3,すなわち14C(Iz)-NC-1300-O-3および14C(Bz)-NC-1300-O-3経口投与時のラットにおける血中濃度,分布,排泄およびイヌにおける経口投与時の血中濃度,排泄について検討し,以下の知見を得た. 1.ラットに14C(Iz)-NC-1300-O-3を10,30および100mg/kg経口投与した場合,血液および血漿中放射能濃度は投与5時間後までに最高値に達し,CmaxおよびAUCは投与量の増加に伴い上昇した.14C(Bz)-NC-1300-O-3を30mg/kg経口投与した場合の血液および血漿中放射能濃度は,14C(Iz)...

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Published in薬物動態 Vol. 9; no. 5; pp. 675 - 699
Main Authors 市川, 雅幸, 横田, 喬枝, 神代, 敏郎, 江角, 凱夫, 高市, 松夫, 高尾, 厚志
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本薬物動態学会 1994
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ISSN0916-1139
DOI10.2133/dmpk.9.675

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Summary:14Cで標識した2種類の14C-NC-1300-O-3,すなわち14C(Iz)-NC-1300-O-3および14C(Bz)-NC-1300-O-3経口投与時のラットにおける血中濃度,分布,排泄およびイヌにおける経口投与時の血中濃度,排泄について検討し,以下の知見を得た. 1.ラットに14C(Iz)-NC-1300-O-3を10,30および100mg/kg経口投与した場合,血液および血漿中放射能濃度は投与5時間後までに最高値に達し,CmaxおよびAUCは投与量の増加に伴い上昇した.14C(Bz)-NC-1300-O-3を30mg/kg経口投与した場合の血液および血漿中放射能濃度は,14C(Iz)-NC-1300-O-3投与時と比較して1/2~1/7の低値を示した. なお,いずれの標識体を投与した場合にも,血液と血漿中放射能濃度推移には違いがみられた.特に14C(Iz)-NC-1300-O-3投与時の血液中放射能の消失は血漿に比較して著しく緩慢であった. 2.イヌに14C(Iz)-NC-1300-O-3および14C(Bz)-NC-1300-O-3を30mg/kg経口投与した場合の血液および血漿中放射能濃度は,ラットと同様に14C(Bz)-NC-1300-O-3投与時の方が1/2~1/3の低値を示した,また,14C(Iz)-NC-1300-O-3投与時の放射能の消失は血漿に比較して血液で緩慢であったが,その差はラットの場合に比較して軽度であった. 3,ラットにいずれの14C-NC-1300-O-3を経口投与した場合も,肝臓,腎臓,消化管に高濃度の放射能分布が認められたが,血液を除き長期間体内に残留する傾向はみられなかった.なお,14C(Iz)-NC-1300-O-3を経口投与した場合には甲状腺にも高濃度の放射能分布がみられた. 4.14C-NC-1300-O-3経口投与1~8時間後におけるラットおよびイヌ血漿中放射能の蛋白結合率は61.7~87.4%であった.また,in vitroにおけるラット,イヌおよびヒト血漿蛋白との結合率はいずれも高く,98.8%以上であった. 5.14C-NC-1300-O-3の血球への移行率(in vitro)は,ラットで最も高く,また,経時的に上昇した.イヌ,サルおよびヒトでは血球移行率はほとんど変化しなかった. 6.雄性ラットに14C(Iz)-NC-1300-O-3を経口投与した場合,投与168時間後までに尿中には69.7%,糞中には26.8%が排泄された.一方,14C(Bz)-NC-1300-O-3を経口投与した場合,尿中には30.6%,糞中には67.7%が排泄された. 7.雄性イヌに14C(Iz)-NC-1300-O-3あるいは14C(Bz)-NC-1300-O-3を経口投与した場合,投与168時間後までにそれぞれ尿中には投与量の35.0および5.8%,糞中には64.0および91.2%が排泄された.排泄率に差はあるものの,いずれの標識体においても主排泄経路は糞中であった. 8.雄性胆管カニューレラットに14C(Iz)-NC-1300-O-3あるいは14C(Bz)-NC-1300-O-3を経口投与した場合,投与48時間後までにそれぞれ胆汁中には,投与量の41.1および77.0%,尿中には49.3および14.3%,糞中には2.6および6.8%が排泄された.胆汁中に排泄された放射能の約80%はいずれも腸肝循環により再吸収された.
ISSN:0916-1139
DOI:10.2133/dmpk.9.675