患者および献血者に見いだした血小板抗体の特異性, 特にHPA-4b抗原の免疫とHLA-DR2 (A24-Bw52-Cw--DR2) 抗原の相関性について

血小板抗原・抗体に関する研究は, ここ数年で急速の進歩を遂げ, 種々の抗原系とその抗体が見つかってきた1)~4). それらは, 国際的に整理され, 統一名称で呼ぶことになった5). わが国では, 1986年柴田ら6)7)により, 新しい血小板抗原系に対する抗体, 抗Yuk^a , Yuk^b (抗HPA-4b, -4a)による新生児血小板減少性紫斑病例が, 1987年には, やはり柴田ら8)により, Bak^a (HPA-3a)抗原の不適合妊娠による頭蓋内出血が原因で水頭症を引き起こした患者例がそれぞれ報告され, 血小板の不適合妊娠が新生児に与える影響の大きさを認識させた. 森田ら9)10)は...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 37; no. 1; pp. 32 - 39
Main Authors 永尾, 暢夫, 谷上, 純子, 安原, 佳津江, 大久保, 康人, 山口, 英夫, 小川, 昌昭, 柴田, 洋一, 椿, 和央, 朴, 済江
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 10.02.1991
日本輸血学会
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Summary:血小板抗原・抗体に関する研究は, ここ数年で急速の進歩を遂げ, 種々の抗原系とその抗体が見つかってきた1)~4). それらは, 国際的に整理され, 統一名称で呼ぶことになった5). わが国では, 1986年柴田ら6)7)により, 新しい血小板抗原系に対する抗体, 抗Yuk^a , Yuk^b (抗HPA-4b, -4a)による新生児血小板減少性紫斑病例が, 1987年には, やはり柴田ら8)により, Bak^a (HPA-3a)抗原の不適合妊娠による頭蓋内出血が原因で水頭症を引き起こした患者例がそれぞれ報告され, 血小板の不適合妊娠が新生児に与える影響の大きさを認識させた. 森田ら9)10)は, 女性献血者血清中に抗血清として使用できる血小板抗体の存在例を見いだし, 抗血清の収集方法に献血者血清のスクリーニングが有用な方法であることを報告した. 1989年, Sajiら11)とIkedaら12)は, HLA適合血小板供給患者血清中に抗Sib^a (抗HPA-2b)と抗Nak^a をそれぞれ見いだし, HLA適合血小板輸血において, HLA抗原のみならず血小板抗原を適合させることの重要性を報告した. われわれは, 血小板抗体による輸血副作用の回避と血小板抗体の収集を目的に, HLA適合血小板供給依頼患者と女性献血者について, 血小板抗体スクリーニングを行ったのでその結果について報告する.
ISSN:0546-1448
1883-8383
DOI:10.3925/jjtc1958.37.32