沈黙を残す オートエスノグラフィックな経験をめぐる対話

本稿は、2022年6月26日に開催されたシンポジウム「沈黙を残す:オートエスノグラフィックな経験をめぐる対話」の記録である。本シンポジウムでは、「沈黙」というテーマのもと、自身の経 験を語り、語れないこと、語ることの意味と暴力性についての対話が行われた。オートエスノグラフィは、自分自身の経験を記述する手法であり、参加者は、自身のアイデンティティやコミュニティの中での位置づけについて語った。宮前は東日本大震災での被災地支援の経験から「非当事者としての視点」について考察し、石原はアイヌの出自を持つ自身の経験を通じて「沈黙」と向き合い、オートエスノグラフィの可能性を示唆した。渡部は福島の原発事故後の...

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Published in共生学研究 Vol. 2; pp. 81 - 99
Main Authors 小山, 冴子, 宮前, 良平, 渡部, 純, 石原, 真衣, 熊本, 博之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 共生学会 02.06.2025
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ISSN2759-2782
DOI10.60403/kyoseigakukenkyu.2.0_81

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Summary:本稿は、2022年6月26日に開催されたシンポジウム「沈黙を残す:オートエスノグラフィックな経験をめぐる対話」の記録である。本シンポジウムでは、「沈黙」というテーマのもと、自身の経 験を語り、語れないこと、語ることの意味と暴力性についての対話が行われた。オートエスノグラフィは、自分自身の経験を記述する手法であり、参加者は、自身のアイデンティティやコミュニティの中での位置づけについて語った。宮前は東日本大震災での被災地支援の経験から「非当事者としての視点」について考察し、石原はアイヌの出自を持つ自身の経験を通じて「沈黙」と向き合い、オートエスノグラフィの可能性を示唆した。渡部は福島の原発事故後の経験をもとに、「語られない声」の存在とその意味を深く掘り下げた。この対話は、個々の沈黙がもつ意味を再認識し、社会における声なき声をどのようにすくい上げるかを探る試みとして捉えられるだろう。
ISSN:2759-2782
DOI:10.60403/kyoseigakukenkyu.2.0_81