研究 胸痛症候群における局所心筋異常 局所壁運動異常と限局性壁肥厚の存在と病態の特徴

胸痛を伴うが正當冠動脈である,いわゆる胸痛症候群における病態を左室局所(局所壁運動,局所壁肥厚)について検討した.対象は過去5年間の狭心症を疑われたが正常冠動脈であった54例から冠攣縮などを除いた30例である.心拍出量,左室拡張終期圧を求め,左室造影,運動負荷試験,タリウム心筋シンチグラフィーを行った.局所壁運動異常は16例(53%)に見られた.壁運動異常部位はセグメント2,3,6などの左前下行枝の支配領域に多い傾向を認めた.左室限局性壁肥厚例は7例(23%)に認め全例男性であった.限局性壁肥厚例は運動負荷試験で7例中6例(86%)に虚血性心電図変化を認め,その中の4例で運動負荷中に胸痛を伴っ...

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Published in心臓 Vol. 21; no. 12; pp. 1392 - 1399
Main Authors 柴田, 昭, 三井田, 孝, 五十嵐, 裕, 松原, 琢, 和泉, 徹, 山添, 優, 田村, 雄助, 古寺, 邦夫, 笹川, 康夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.12.1989
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.21.12_1392

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Summary:胸痛を伴うが正當冠動脈である,いわゆる胸痛症候群における病態を左室局所(局所壁運動,局所壁肥厚)について検討した.対象は過去5年間の狭心症を疑われたが正常冠動脈であった54例から冠攣縮などを除いた30例である.心拍出量,左室拡張終期圧を求め,左室造影,運動負荷試験,タリウム心筋シンチグラフィーを行った.局所壁運動異常は16例(53%)に見られた.壁運動異常部位はセグメント2,3,6などの左前下行枝の支配領域に多い傾向を認めた.左室限局性壁肥厚例は7例(23%)に認め全例男性であった.限局性壁肥厚例は運動負荷試験で7例中6例(86%)に虚血性心電図変化を認め,その中の4例で運動負荷中に胸痛を伴った.また,タリウム心筋シンチグラフィーでは施行した6例中4例に異常が認められ,その全例で異常部位と左室造影の肥厚部位と一致した. 以上より胸痛症候群において左室局所異常は高率に存在していた.また,肥大型心筋症のいくつかの特徴を有している症例があったが,肥大型心筋症との関連は今後の検討を要する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.21.12_1392