研究 冠動脈造影時の徐脈発生機序 ヒス束電位図による研究

冠動脈造影時の徐脈の発生機序および房室伝導につき41例にヒス束心電図と心電図第III誘導を用い検討した. 洞結節動脈・房室結節動脈側冠動脈への造影剤の注入と洞性徐脈化の程度およびAH時間延長についての検討では,洞結節動脈側冠動脈への造影剤の注入でも洞結節動脈を出していない冠動脈への造影剤の注入でも洞性徐脈化の程度は変わらなかった.房室結節動脈支配側冠動脈への造影剤の注入と洞性徐脈化の程度およびAH時間の延長とは有意の関係が認められた.すなわち房室結節動脈が右冠動脈より分枝している場合は右冠動脈注入で,左冠動脈より分枝している場合は左冠動脈注入で有意に洞性徐脈発生,およびAH時間の延長が認められ...

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Published in心臓 Vol. 10; no. 11; pp. 1129 - 1136
Main Authors 延吉, 正清, 野坂, 秀行, 伊藤, 幸義, 藤田, 一之, 高山, 幸男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 01.11.1978
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Summary:冠動脈造影時の徐脈の発生機序および房室伝導につき41例にヒス束心電図と心電図第III誘導を用い検討した. 洞結節動脈・房室結節動脈側冠動脈への造影剤の注入と洞性徐脈化の程度およびAH時間延長についての検討では,洞結節動脈側冠動脈への造影剤の注入でも洞結節動脈を出していない冠動脈への造影剤の注入でも洞性徐脈化の程度は変わらなかった.房室結節動脈支配側冠動脈への造影剤の注入と洞性徐脈化の程度およびAH時間の延長とは有意の関係が認められた.すなわち房室結節動脈が右冠動脈より分枝している場合は右冠動脈注入で,左冠動脈より分枝している場合は左冠動脈注入で有意に洞性徐脈発生,およびAH時間の延長が認められた.洞性徐脈化およびAH時間延長はアトロピン投与で予防できた.AH時間延長は心房ペーシングにより助長した.以上より洞性徐脈発生およびAH時間延長は副交感神経を介する反射が主として関与していると考えられる.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.10.11_1129