臨床 心腔内血栓の成長に対するアスピリンの阻止効果 In-111-oxine標識血小板による血栓シンチグラフィーおよび超音波心断層法,左心室造影法による評価判定

心腔内血栓を持つ患者5人に対して,左室造影(LVG)超音波心断層法(2-DE),In-111-oxine標識血小板を用いた血栓シンチグラフィーによる検索を行った.その結果,血栓シンチグラフィー上7部位(心室5,心房2),2-DE上4部位(心室3,心房1),LVG上4部位(心室4)で血栓が描出された.さらに,これらの患者にアスピリンを投与すると,血栓シンチグラフィー上,血栓は5部位で陰性化し,2部位で偽陽性となったが,アスピリンの投与を中止すると,再び6部位で描出された.一方2-DEにおいては,アスピリンの投与および中止に関係なく4部位とも血栓が描出された. 以上より,In-111-oxine標...

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Published in心臓 Vol. 16; no. 10; pp. 1041 - 1048
Main Authors 吉岡, 敏治, 入野, 忠芳, 杉本, 侃, 新井, 英和, 渋谷, 正徳, 中, 真砂士, 辻, 和夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.10.1984
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.16.10_1041

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Summary:心腔内血栓を持つ患者5人に対して,左室造影(LVG)超音波心断層法(2-DE),In-111-oxine標識血小板を用いた血栓シンチグラフィーによる検索を行った.その結果,血栓シンチグラフィー上7部位(心室5,心房2),2-DE上4部位(心室3,心房1),LVG上4部位(心室4)で血栓が描出された.さらに,これらの患者にアスピリンを投与すると,血栓シンチグラフィー上,血栓は5部位で陰性化し,2部位で偽陽性となったが,アスピリンの投与を中止すると,再び6部位で描出された.一方2-DEにおいては,アスピリンの投与および中止に関係なく4部位とも血栓が描出された. 以上より,In-111-oxine標識血小板を用いた血栓シンチグラフィーは,血栓検索の感度にすぐれているばかりでなく,従来のLVGや2-DEが血栓の形態のみを捕えていたのに対して,血栓表面の血小板凝集状態を観察することが可能で,抗凝固療法を行う際の指標として非常に有用な手段であると考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.16.10_1041